「毎月、スマホにいくら払っていますか?」
ふと聞かれても、即答できない方が意外と多いものです。請求額を見て「高いな」と思いながらも、どこかで“しょうがない”と感じてしまう――これ、日本人の家計における“見て見ぬふりされがちな固定費”の典型だと私は思っています。
私は普段、家計改善や資産形成に関する相談を受ける機会が多いのですが、通信費の見直しって、どういうわけか「後回し」にされる傾向があるんです。特に数字に強い方ほど、面倒そうな手続きや乗り換えリスクを想像して、つい手をつけない。よくあるパターンです。
でも実際のところ、格安SIMに切り替えるだけで、月に3,000〜4,000円、年間だと4〜5万円が浮くケースがザラにあります。浮いたお金を家族のレジャー費や教育費、あるいは少額投資に回すだけで、生活全体の質がちょっとだけ豊かになる。そうした“小さな余白”を生むための入り口として、スマホ代の見直しはじつは非常に合理的な一手なんです。
ただし、当然ながら「安くなる」ことには“理由”があります。「安いのには裏があるんじゃないの?」と感じるのも自然です。だからこそ本記事では、最新の統計データや実測値をベースに、スマホ料金の全体像とその裏にある仕組み、そして乗り換えの現実的なステップまでを、わかりやすく・具体的にご紹介していきます。
読了後には、
- いま自分が払っているスマホ代が“平均より高いのか”がわかる
- 格安SIMがなぜ安いのか、その構造と仕組みがつかめる
- “やってみよう”と思えたときにすぐ動ける実践手順が手に入る
――そんな状態を目指して構成しました。
通信費は、家計の中で「気づかぬうちに膨らむ」代表格です。数字の正体を知ってしまえば、もう怖くありません。仕組みを味方につけて、今日から“通信費ダイエット”を始めてみませんか?
第1章|日本人のスマホ代“リアル相場”を直視する

1-1 平均月額はいくら?―数字を知らないまま「高いか安いか」は語れない
まずは、自分がどれくらいスマホ代を払っているのかを、客観的に見てみましょう。
2024年の最新調査によると、
- 大手3キャリア(通信+通話)の平均月額は約5,100円
- 一方で、格安SIM(MVNO)の平均は約1,600円
この数字、けっこうインパクトありませんか?
同じスマホでも、契約先が違うだけで月3,500円以上の差がついているんです。
しかも、これが1人分ならまだしも、家族で2台・3台と使っていれば年間で8〜10万円単位の差になることも。
一度、自分のスマホ請求額をスクショしてみてください。
データと比べてみると、「思ったより払ってる…かも?」という気づきがあるはずです。
節約は、こうした“棚卸し”からスタートします。
1-2 家計の中の通信費、どれくらいの割合?
最新の家計調査をもとにすると、二人以上の世帯における月間消費支出はおよそ30万円。そのうち「交通・通信」費は約4万円超、支出全体の14%近くを占めています。実はこれ、食費や水道光熱費と同じくらいの規模感なんです。
普段はあまり意識しないかもしれませんが、通信費は“生活に溶け込んでいるからこそ、削りにくい”。だからこそ、構造を理解して見直せば、毎月の支出に「余白」が生まれます。
数字に強い方ほど、“節約の複利”の価値を理解できるはず。小さな固定費の見直しが、長い目で見て大きな違いを生む。通信費はまさに、その最前線です。
1-3 「高い=品質がいい」は思い込み?――国際比較でわかる日本の立ち位置
最後にもうひとつ、視野を少し広げてみましょう。
国際的な統計データを見ると、日本のスマホ通信費は決して「極端に高い国」ではありません。世界38カ国の中で中位クラス。例えば北欧や韓国のように通信品質で定評のある国々と、ほぼ同水準です。
つまり、「日本の通信は高いけど、そのぶん質がいいから仕方ない」という考え方は、すでに過去のものになりつつあるんですね。
私自身、仕事柄よく海外とのオンライン会議を行いますが、正直、日本の通信品質は非常に安定していると思います。ただ、それは高いプランだからこそではなく、インフラ全体の底上げが進んでいるからです。
“料金と品質は比例する”という感覚は、今や思い込みかもしれません。選び方次第で、コストを下げながら品質をキープすることは、十分に可能です。
第2章|格安SIMとは何か――仕組みの裏側までちゃんと知っておこう
2-1 そもそも「格安SIM」ってなに?——実は3つのタイプがある
格安SIMと一口に言っても、実は複数の種類があります。
ざっくり分けると以下の3系統です。
- MVNO(仮想移動体通信事業者):大手キャリアの回線を借りて、自社ブランドで提供している会社
- サブブランド:大手キャリアの兄弟ブランド。ややサポートは厚め
- オンライン専用プラン:実店舗サポートを省くことで料金を圧縮したプラン
共通するのは、「自前の基地局を持っていない」という点。これが、料金が安くなる最大の理由なんです。
2-2 安さの正体——“値段の裏には理由がある”
「なんでこんなに安いの?」と不安に感じる方もいると思います。私も最初はそうでした。
ですが、構造を理解すればむしろ納得できます。料金が下がる主な理由は以下の3つです。
- 設備投資が不要:基地局を持たないため、大きな減価償却費がかからない
- 広告費を抑えている:テレビCMではなく、Web広告や口コミ中心
- プランがシンプル:選択肢が少なく迷いにくい=運営効率がいい
これらすべてが、「安さ」の源泉。質を落として安くしているわけではないんですね。
2-3 「遅いんじゃないの?」は、本当?――データで見る通信速度
結論から言えば、主要都市での実測値は十分すぎる水準です。
下り速度でいうと、70Mbps〜180Mbpsが中央値。動画もWeb閲覧も、普段使いにはまず困りません。
ただし、混雑時間帯やエリアによっては遅延を感じることもあります。これは、帯域制限がかかる仕組み上の問題で、「絶対に遅くならない」とまでは言えません。
サポートに関しても、店舗がないぶん基本はチャット対応やWeb FAQが中心になります。これを「不便」と感じるか、「問題なし」と感じるかは、人によって異なるでしょう。
専門家のつぶやき
「格安SIMって遅くないですか?」と聞かれること、すごく多いです。でも実際、私自身はZoom会議やクラウド作業をしていても、回線の違いを気にしたことはありません。体感レベルで“遅い”と感じる機会って、案外少ないんですよね。
第3章|大手キャリア vs 格安SIM──“価格の構造”を見直すだけで、ここまで違う

3-1|大手キャリアの「通常プラン」は、割引前提で組まれている
大手キャリアの店頭で案内されるスマホプランは、基本的にデータ使い放題(または大容量)+かけ放題オプションのセットが主流です。
ただ、その基本料金は月7,000〜8,500円台とかなり高めの水準。そこから家族で複数回線をまとめたり、自宅のインターネット回線を同じ会社にしたり、キャッシュレス決済の利用を条件にしたりと、複数の割引を“全部満たして”ようやく月5,000〜6,000円台に落ち着くよう設計されています。
つまり、“安く使うにはいくつもの条件をクリアする必要がある”というのが、大手キャリアの通常プランの特徴です。
3-2|格安SIMは“割引なし”でも1,000円台から──中容量も2,000円前後が主流
一方で、格安SIMの料金体系はとてもシンプル。条件なし・誰でもそのまま使える価格設定になっています。
たとえば――
- 10GB程度のプランなら月1,400〜1,500円ほど
- 20〜25GBで月2,000〜2,200円前後
- 30GBでも3,000円を超えない水準
しかも、ほとんどのプランで最低利用期間や違約金がないため、「まずは使ってみる」というハードルも低め。回線そのものの“定価が安い”ことが、格安SIMの最大の強みといえるでしょう。
3-3|支払い実態を比べると、平均で月3,500円の差がある
実際の支払い額を比べると、その差はより明確です。
最近の利用実態調査によると、
- 大手キャリアを利用している人の月額平均(通信+通話)は約5,100円
- 格安SIMを利用している人は平均で約1,600円前後
その差は、毎月3,500円以上。年間にすると4万円を超える金額です。しかもこれは、端末代やオプションを含まない“素の回線料金”だけの比較。実際には、端末の分割払いや保証サービス、動画や音楽のオプションを付けることで、支払総額はさらに広がっていきます。
専門家の実感として
通信費は「知らない間に高くなっている」代表的な支出です。
「ちゃんと家族割を使ってるからお得なはず」と思っていても、いざ請求明細を見てみると月6,000円を超えていたというのは、よくある話。
一方で、格安SIMは条件なしでも安定して2,000円以内に収まるケースが多く、金額のコントロールがしやすいのも大きなメリットです。
3-4|“回線+端末+オプション”の見直しで、家計はもっとラクになる
通信費を見直すなら、回線料金だけでなく「スマホ全体の支出構造」ごと見直すのがおすすめです。
たとえば:
- 高額な端末を分割払いで使う → 自分に合った端末を一括購入 or 長く使う
- 保険や保証、動画オプション → 必要最小限に絞る
- 月々のデータ使用量 → 実際の使用量に応じてプランを見直す
これを家族全体で見直せば、年間で10万円以上の支出削減につながるケースもめずらしくありません。
一言でまとめるなら
大手キャリアは「複数の条件をクリアしてやっと割安になる」設計。
一方、格安SIMは「最初から誰にとっても割安」な設計。
どちらが良い悪いではありませんが、ライフスタイルに合った料金構造を選ぶことが、無理のない節約の第一歩になります。
「なんとなく使い続けているプラン」にこそ、ムダは潜んでいます。
まずは、自分のスマホ代が**“今の自分にとって自然な金額か?”**を見つめ直すことから始めてみましょう。それだけで、家計にちょっとした“呼吸の余白”が生まれるかもしれません。
第4章|乗り換え前のチェックリスト──失敗を防ぐ6つの視点
ひとこと
「失敗したくない」「やっぱり不安」と感じるのは当然です。
でも、準備が8割、手続きは2割。これさえ押さえておけば、乗り換えは想像よりずっとスムーズです。
4-1|MNP予約と端末の残債チェックを先に済ませておく
まず最初のステップは、MNP予約番号の取得です。
これは、現在のキャリアのWebサイトや公式アプリで数分で発行できます。料金も無料です。
そしてもうひとつ大事なのが、今使っているスマホに端末の残債があるかどうかの確認。
支払いが残っている場合は、「そのまま分割払いを継続」もできますし、「一括で精算」も選べます。
ポイントは、「残債があるから乗り換えられないわけではない」ということ。自分に合ったタイミングで柔軟に動けるということを知っておいてください。
4-2|SIMロック解除とeSIM/物理SIMの使い分け
近年の端末は、ほとんどが最初からSIMフリーになっているため、SIMロック解除の手続きは不要な場合が多いです。
ただし、古い機種をお使いの方は、念のためキャリアのマイページから確認しておきましょう。
また、SIMには「物理SIM」と「eSIM」の2種類があります。
- eSIM:スマホに組み込まれている“電子SIM”。申し込み後、即日開通が可能。
- 物理SIM:自宅に郵送されるカード型のSIM。届くまで数日かかるが、挿すだけで使える。
4-3|キャリアメール・ポイント・決済系の見直し
意外と盲点なのが、「キャリアメール」と「キャリア決済・ポイント」の取り扱いです。
- キャリアメール:月額330円程度で持ち運び可能なケースもありますが、GmailやYahooメールに移行する方がシンプルです。
- キャリア決済:サービスによっては解約後に使えなくなるものも。あらかじめ支払い方法をクレジットカードに切り替えておくと安心です。
- ポイント:ほとんどのケースで保持されますが、使い道が限定されることもあるので注意しましょう。
少しでも不安がある方は、「1か月だけ旧回線を残す」など、段階的に切り替える方法もおすすめです。
4-4|“もしも”に備えるなら、デュアルSIMという選択肢も
通信障害が心配な方には、「デュアルSIM」の選択肢があります。
たとえば:
- メイン回線:格安SIM(eSIM)
- サブ回線:月額無料または格安のサブプラン(物理SIM)
このように“2つの回線”を1台のスマホに入れておくことで、どちらかが止まっても通信できるようになります。
コストは月に数百円。心理的な安心感としては、かなり大きいです。
4-5|eKYC(本人確認)でつまずかないためのちょっとした工夫
本人確認書類の撮影、これが意外とトラブルの元です。
- 光の反射に注意(特に免許証)
- ブレないように、平らな場所で
- マイナンバーカードのIC読み取りは、スマホをカード中央に“ピタッ”と重ねること
これだけで、失敗率はぐんと下がります。
4-6|不安な方は「ワンクッション乗り換え」もあり
どうしても「いきなり格安SIMは不安」という方には、大手キャリアのオンライン専用プランを“中継ぎ”に使うという手もあります。
- 今のキャリアのまま、オンライン専用プランに切り替えてまず月額を下げる
- しばらく使ってみて問題がなければ、そこから格安SIMに乗り換える
いきなり飛び込まず、段階を踏むことで不安も減らせますし、手続きもスムーズです。
第5章|実践ステップ──“今日から90分で”格安SIMへ移行する方法

ちょっとしたきっかけで変わる話
「格安SIM、やってみたいけど面倒そう…」
そんな声、何十回と聞いてきました。でも実際は、たった90分あれば一通りの乗り換えが完了するんです。
私も最初は尻込みしていました。でも、やってみたら想像よりずっとシンプルで、「もっと早く動いていれば…」とすら思いました。
5-1|事前準備15分:必要なのは“3つの確認”だけ
まずは、乗り換え作業に入る前の準備から。
- 本人確認書類
運転免許証、マイナンバーカードなど、顔写真つきのものが1点あればOKです。撮影用にスマホのカメラを磨いておくと安心です。 - 支払手段(クレカ推奨)
格安SIMはクレジットカード決済が主流。もちろん口座振替でも申し込める会社もありますが、開通スピードを優先したいならクレカがベター。 - SIMロックの確認
最近のスマホはSIMフリー化されていますが、念のため「SIMロックが解除済か」を端末設定でチェックしておきましょう。古い端末はWeb上で無料解除できます。
余談ですが
この段階で書類が見つからなかったり、バックアップが取れていなかったりする方、結構多いです。通信費を見直すタイミングは、スマホ内の“情報整理”にも絶好の機会なんですよね。
5-2|MNP申請10分:電話番号を“持って行く”仕組み
いまの番号をそのまま使いたいなら、「MNP予約番号」の取得が必要です。
方法は簡単。大手キャリアのマイページやアプリにログインし、案内に沿って申請すれば、10桁の番号がSMSで届きます。これで準備完了。
ここで焦らないコツ
エラーになる場合の多くは、名義が本人でない/滞納がある――のどちらかです。気になる方は、事前に「名義と生年月日が一致しているか」だけチェックしておきましょう。
5-3|申し込み20分:プラン選びとeKYCは落ち着いて
格安SIMの申し込みはすべてオンラインで完結します。
- プラン選択
自分が月に使っているデータ量を基準に、少しだけ余裕のあるプランを選びましょう。例:月7GB前後使っていれば10GBプランが無難。 - 通話オプションの判断
ふだんLINE通話メインであれば、音声通話は最小限で十分。月30分以上通話する方は「かけ放題」を検討してもOKです。 - eSIMか物理SIMかを選ぶ
「すぐに開通したい」ならeSIM、「手元に届いたカードを差し込みたい」なら物理SIM。 - 本人確認(eKYC)
スマホで本人確認書類を撮影+自撮り顔認証。明るい場所で、焦らずゆっくり動くのがポイントです。
5-4|SIM設定15分:入れ替えorプロファイルDLでOK
SIMが届いたら(またはeSIMなら即日)、いよいよ設定フェーズです。
- 物理SIMの場合:スマホの電源を切ってSIMを入れ替え、電源ON→APN設定をするだけ
- eSIMの場合:QRコードを読み取ってプロファイルをインストール。あっという間です
動作確認として、データ通信・音声通話・SMSを1回ずつ試せば安心です。
5-5|最終チェック30分:ここまで来たらもう安心
最後に、以下の点をチェックしておきましょう。
- Web閲覧・動画再生はスムーズか?
- 通話とSMSの送受信に問題がないか?
- LINE・銀行・二段階認証アプリなどが正常に使えるか?
MNPの場合、旧キャリアの契約は自動で解約されます。数日後、アプリやメールで「解約のお知らせ」が届くので確認しておきましょう。
まとめると
ここまで全体で約90分。じっくり確認しても半日以内で完了です。「格安SIMは難しそう」な印象、そろそろ手放してもいいかもしれません。
第6章|節約効果を最大化する“通信費ダイエット”のコツ

節約って、気合じゃないんです。仕組みなんです。
格安SIMに乗り換えた直後は意識が高くても、時間が経てば元通り。だからこそ、何も考えなくても節約が続く状態を“自動化”することが大事です。
6-1|公共Wi-Fiは“使えるところで常に使う”が基本
駅・カフェ・図書館・スーパー……
意外なほど多くの場所にWi-Fiはあります。
スマホに**“自動接続”の設定をしておく**と、モバイル通信に戻る機会が減り、月1〜2GBは確実に浮かせます。
特に、自宅と職場・学校のWi-Fiだけで7割カバーできる人も少なくありません。
※注意点:公共Wi-Fiはセキュリティ対策が不十分な場合もあります。パスワードの入力やクレジットカード決済など、個人情報の送信は避けるかVPNを併用するのが安全です。接続時には提供元を確認し、不審なSSIDには接続しないようにしましょう。
6-2|サブスク動画は“標準画質”でちょうどいい
スマホで見る動画、正直フルHDや4Kはオーバースペックです。
設定で「標準画質」や「データセーバー」を選べば、同じ1時間の動画視聴で通信量が1/2〜1/3に。
これは、気づかぬうちにギガを食う落とし穴。一度設定を見直すだけで、大きな違いになります。
6-3|繰り越し&シェアプランで“余りギガ”を活かす
格安SIMの中には、
- 余ったギガを翌月に繰り越せるプラン
- 家族でシェアできるプラン
が用意されています。
たとえば、子どもが使いすぎた月に、親の余ったギガで補う──という柔軟な使い方も可能です。
6-4|LINE通話など、無料音声アプリを最大活用する
LINE・Messenger・Zoomなど、音声通話は“データ通信だけでOK”な時代です。
日常的にこうしたアプリを使っていれば、音声通話オプション(かけ放題など)をつけなくても不自由しないケースが増えてきています。
実際、私も音声通話オプションは外しましたが、不便を感じることはほとんどありません。
6-5|“月1回のチェック”で節約は続く
毎月、家計簿アプリやスマホの「モバイルデータ使用量」を5分だけ見直してみてください。
- 今月、何にどれくらい使った?
- オーバーしそう? 余りすぎてる?
- プランは合ってる?
こうした“軽いメンテナンス”を月1でやるだけで、知らない間に節約リズムが身についてきます。
6-6|請求が増えたときは“3つの原因”をチェック
- 動画アプリの設定が高画質になっていないか?
- OSやアプリのアップデートがモバイル通信で走っていないか?
- テザリングONのまま、PCをつないでいなかったか?
これら、いずれも私がやらかしたことがある失敗例です(笑)。
見直せば、ムダはちゃんと止められます。
一度、ノートパソコンをWi-Fi接続したと思ったら実はテザリング状態で、気づけば2GB使っていたことがありました……。
通信費は、「意識してるつもり」で漏れるんです。だから、“仕組み”で防ぐ。それが一番確実です。
ここまで来たら、格安SIMへの移行はもう“点”ではなく“線”。
使い方まで見直すことで、節約効果が長く、静かに効いてきます。
第7章|家計インパクトを体感する──年間4万円の“浮いたお金”をどう使う?
専門家として思うこと
通信費が安くなるのはわかった。けれど、その金額がどれくらい家計にとって「大きい」か、実感しにくい──
そんな声、よく耳にします。確かに、月3,000円の節約って、地味に見えるかもしれません。でも、視点を変えると「地味=持続可能」でもあるんです。
この章では、実際にどのくらい家計に効いてくるのか、単身・2人・4人世帯の3パターンでシミュレーションしてみます。きっと、「あれ、想像よりすごいかも…」と感じていただけるはずです。
7-1|単身世帯:5万円の“可処分余白”が生む選択肢
項目 | 大手キャリア | 格安SIM | 差額 |
---|---|---|---|
月間通信費 | 6,300円 | 2,100円 | 4,200円 |
年間通信費 | 75,600円 | 25,200円 | 50,400円 |
一人暮らしの方にとって、年5万円の節約はかなりのインパクト。
たとえば――
- ノートPCの買い替え
- 有料のオンライン講座に申し込み
- 旅行や趣味に“ひと押し”の自由をつくる
こうして書いていて思い出すのですが、私も数年前、格安SIMに乗り換えた浮いたお金でカメラを買いました。それが、思いがけず仕事の幅を広げてくれて…。“余白の使い方”が人生をちょっと変えることって、あるんですよね。
7-2|2人世帯:共働き世帯の「使途不明金」を防ぐには
項目 | 大手キャリア(2回線) | 格安SIM(2回線) | 差額 |
---|---|---|---|
月間通信費 | 約12,000円 | 約4,500円 | 7,500円 |
年間通信費 | 144,000円 | 54,000円 | 90,000円 |
共働き世帯にとっては、固定費の見直しがそのまま将来の選択肢の幅に直結します。年9万円あれば、例えば:
- 半年に1度の1泊旅行
- 住宅資金の上乗せ(頭金を10万円増やせばローン総額も減る)
- 教育資金としてNISAに振り分け
実務的な視点で補足すると
節約で浮いたお金は、給与口座に残しておくだけだと大体どこかに消えます(笑)
共通の生活費口座に“先に”移しておく。これ、地味だけど効きます。
7-3|4人世帯:教育費・通信費をセットで見直す視点
項目 | 大手キャリア(4回線) | 格安SIM(4回線) | 差額 |
---|---|---|---|
月間通信費 | 約20,000円 | 約8,000円 | 12,000円 |
年間通信費 | 240,000円 | 96,000円 | 144,000円 |
年間で14万円以上の差が出るとなると、これは塾の月謝や習い事の費用をまかなえる水準です。たとえば、月1万円ほどの塾代やピアノ・スイミングなどの習い事を1年間継続できる額に相当します。つまり、スマホ代を見直すだけで、子どもの学びや体験の選択肢を増やせる家庭もあるということです。
「通信費と教育費のダブル最適化」──これは、今や“堅実にお金を活かす家庭”が自然にやっている選択なのかもしれません。
7-4|浮いたお金の「使い道アイデア」3選
① 生活防衛資金の底上げに
想定外の出費や収入減に備え、生活費の3〜6か月分を現金で確保。これは家計の“体幹”をつくるようなもの。
② 少額からの投資スタート
つみたてNISAやiDeCoなど、税優遇のある制度から始めるのが基本。
「ビットコインやFXはどうですか?」とよく聞かれますが、それは“順番のあと”です。
補足します
ビットコイン(暗号資産)は価格変動が激しく、FX(外国為替証拠金取引)はレバレッジをかけられる分、リスクも大きい金融商品。まずは制度を活かした長期投資で“土台”を築いてから、興味のある方は試してみても良いかもしれません。
③ 自己投資:学び・スキル・健康へ
例えば、キャリアアップのためのオンライン講座、語学学習、資格試験。あるいはパーソナルトレーニング。
人的資本=未来の収入源に投資するのは、家計改善の“攻め”の選択肢です。
第8章|まとめ──「通信費=固定費」という常識をアップデートする

ここまで読んでくださった方へ
もし今、「通信費を見直してみようかな」と思っていただけているなら、この記事はきっと役に立ったはずです。
でも、最後にお伝えしたいのは、「乗り換えろ!」ではありません。“自分の通信費がどうなっているか”をまず知ること――そこがすべての起点なんです。
8-1|要点を“3行”でざっくり復習
- スマホ代の平均は、大手キャリアで月5,100円。格安SIMなら月1,600円ちょっと。差は月3,500円以上
- 乗り換えのハードルは想像より低く、90分で完結する
- 節約は継続こそ命。自動化+月1の見直しで“惰性の節約”を仕組みにする
8-2|“ライフサイクル思考”で通信費を見直す習慣を
スマホの使い方も、家族構成も、住環境も、1年ごとに変わっていきます。
通信費は、一度見直して終わりではなく、“ライフスタイルの変化に合わせて調整していくもの”。
- 半年ごとに、利用量と料金のズレをチェック
- 新しいプランが出ていたら比較検討
- 機種変更のタイミングで再評価
こんな風に、通信費を“定期健診”する習慣があるだけで、知らぬ間に損をしていた…という未来は防げます。
8-3|“次の一歩”をカレンダーに入れておく
何かを変えるときは、「いつかやろう」では動けません。
ですから、次の一歩を**“行動予定”としてカレンダーに落とし込んでしまいましょう。**
- 今日:スマホの請求額を確認 → スクショ保存
- 今週末:MNP予約番号を申請
- 来週:格安SIM申込+本人確認
- 3か月後:再評価のリマインダーを設定
専門家の最後のひと言
通信費の見直しは、資産形成や家計管理の“序章”です。
でも、ここを乗り越えられるかどうかで、次の10年の“お金との付き合い方”が変わると、私は本気で思っています。
出典・参考:
総務省|統計調査データ:通信利用動向調査メニュー
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