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第1章|はじめに:クラファン投資の 表と裏”を知るために
「これ、なんか安心そうだから…って、思っちゃったんですよね。」
不動産クラウドファンディング(以下、不動産CF)という言葉を聞いて、どんなイメージが浮かびますか?
「1万円から不動産投資できる」
「専門知識がなくてもOK」
「管理の手間なし、完全ほったらかし」
こんなフレーズに惹かれて、ちょっと心が動いた経験がある方も多いのではないでしょうか。私もそうでした。
実際、不動産CFは少額から始められて、案件ごとにテーマ性があり、投資初心者にも比較的取り組みやすい仕組みです。
でも一方で、「本当に元本って返ってくるの?」という素朴な疑問が、ふと頭をよぎることもありますよね。
この違和感、放置しない方がいいです。
なぜなら、不動産CFはあくまで**「投資」であり、「預ければ増える預金」のような金融商品ではない**からです。
安心感に包まれた“投資っぽくない投資”
不動産CFは、表面上は非常に敷居が低く、柔らかい雰囲気をまとっています。
SNS広告などでは「貯金代わりに」「つみたて感覚で」なんて言われることも多く、投資初心者にとってはかなりとっつきやすい存在です。
しかし、金融商品取引法の観点からも「元本保証」はできない投資手段であり、場合によっては出資した資金の一部が戻ってこない可能性すらあります。
でも、逆に言えばそこをきちんと理解して使えば、静かにコツコツ資産形成する手段として成立する──そういう側面もまた、事実なのです。
本記事の目的:「不安を払拭する」のではなく、「納得できる判断材料を渡す」
この記事は、不動産CFに対して「なんとなく気になってるけど、怖くて踏み出せない」という方や、「始めてみたけどリスクがよく分からない」という方に向けて書いています。
「やめとけ」と言いたいわけではありません。
「やった方がいい」とも一概には言えません。
大事なのは、“仕組みを理解したうえで、自分の判断で選ぶこと”。
だからこそ本記事では、
- 元本がなぜ保証されないのか
- リスク構造はどうなっているのか
- リスクを軽減する仕組みは存在するのか
- それでも失敗するケースはあるのか
こういったポイントを、会計・金融実務の視点と、FP的なライフプラン視点の両軸から丁寧に掘り下げていきます。
次章では、まず「そもそも不動産クラファンってどんな仕組み?」という基本から確認していきましょう。
第2章|クラウドファンディング投資とは?仕組みと種類の基本理解
「仕組みがわかると、変な期待も減るし、変な不安も減る。」
投資を始めるときに最初に陥りがちなのが、“なんとなく安心”と“なんとなく不安”の間で、情報が曖昧なまま進んでしまうこと。
不動産CFは、その仕組み自体が**「わかりにくいけど、わかりやすそう」**という特性を持っています。
2-1. 不動産クラファンの一般的な流れ
不動産クラウドファンディング(不動産CF)の仕組みは、いわば「不動産ビジネスを小口でシェアする」構造です。投資家が複数集まり、それぞれの資金をもとに事業が動くため、以下のような流れで進行します。
✅ ステップ1:出資(あなた → ファンドへ)
まず、あなた(投資家)は、インターネット上の専用プラットフォームを通じて、不動産ファンドに少額(たとえば1万円〜)の出資を行います。証券口座を開設するようなイメージではなく、Web上の簡単な登録だけで完結するのが特徴です。
✅ ステップ2:運営会社が不動産を取得・運用
あなたを含む複数の出資者から集めた資金をもとに、運営会社(不動産CF事業者)が不動産物件を取得します。
取得した物件は、以下いずれかの方法で運用されます:
- 賃貸に出して、毎月の家賃収入を得る(インカム型)
- 一定期間保有したのち、価格上昇を見込んで売却する(キャピタル型)
運用方針はファンドごとに異なるため、投資前に確認が必要です。
✅ ステップ3:収益を分配
物件から得られた収益は、事前に決められた出資比率に応じて、出資者に配当という形で分配されます。
「月ごとの分配」か「期末一括分配」かはファンド次第ですが、**“預けっぱなしでも収益が自動で分配される”**という手軽さが魅力です。
✅ ステップ4:期間満了後、元本が償還される
ファンドの運用期間が終了すると、投資家には当初出資額(元本)+最後の分配金がまとめて償還されます。
ただし、売却益や運用状況によっては、元本が全額返らない可能性もあるため、「元本保証型の商品ではない」ことは常に頭に置いておきましょう。
🔍 補足:あなたは“所有者”ではないということ
ここで大切なポイントがあります。
不動産クラファンでは、投資家は物件の“名義人”にはなりません。
あくまで「運営会社の行う不動産事業に匿名組合として出資する」構造であり、不動産を“持つ”のではなく、“預けて運用してもらう”という立場です。
2-2. 投資商品ゆえに元本保証はできない
ここで明確にしておきたいのは、不動産CFは法律上、元本保証をしてはいけないということ。
これは、金融商品取引法・不動産特定共同事業法などで明確に定められています。
「絶対に損しません」と言えば違法行為になるのです。
そのため、たとえ「過去の元本割れ実績なし」と謳っていても、将来も割れない保証ではないことをしっかり認識する必要があります。
少額投資=安全とは限らない
「1万円から投資できる」
これは確かに魅力的ですが、1万円だから安全という意味ではありません。
少額から始められることで心理的ハードルが下がりやすく、結果として「リスクをよく理解せずに複数ファンドへ拡散してしまう」というケースもあります。
この点においても、仕組みを理解することが最大のリスクヘッジになるわけです。
第3章|クラファン投資のリスク構造:元本が返らない理由とは
「損することよりも、損する理由を知らずに飛び込む方が、もっと怖い。」
さて、ここからはいよいよ核心──「なぜ不動産CFでは元本が保証されないのか?」というテーマに入っていきます。
3-1. 安全=元本保証ではない理由
まず、よくある誤解を整理します。
「担保があるから安全」
「不動産だから安定してる」
「運営会社が出資してるから安心」
──こういった言葉、すべて**“事実の一部”ではあるけれど、“保証ではない”**んです。
では、なぜ元本が保証されないのか。その理由は大きく3つあります。
✅① 不動産価格の変動リスク
物件価値は常に変動しています。
市況や立地、経済状況によっては、売却時に想定より低い価格になることも。
もし売却益が出なければ、分配原資そのものが消える=元本返還に影響します。
✅② 想定外のコスト発生
築古物件であれば突発的な修繕やリフォーム費用が必要になることもありますし、賃料収入が落ち込めば、収益性が一気に崩れることも。
“想定通りにいかなかった場合”の余地が、投資には常につきまとうのです。
✅③ 広告規制により“保証”を謳えない
法的にも、運営会社は「保証」のような表現を避ける義務があります。
そのため、あくまで**「想定利回り」や「過去実績」でしか語れない**という現実があります。
たとえば「過去に元本割れ実績なし」と書いてあっても、それは将来の保証とは関係ありません。
3-2. 「保証っぽい言葉」に潜む誤解
- 想定利回り◯%
- 元本割れゼロの実績
- 自社も出資=安心
こうした言葉、どれも事実ではあります。でも、読み手が勝手に「保証」に近いイメージを持ってしまいやすいのが問題です。
特に「運営会社の自社出資」は注意が必要。出資順位が“劣後”か“優先”かによって、投資家保護になるかどうかは大きく変わります。
信頼できるのは「数字」ではなく「構造の開示」
結局のところ、
「この数字は高い/低い」ではなく、
「どうやってその数字が導かれているのか」──これを開示しているかどうかが、本当の“信頼性”です。
そしてその開示内容を正しく理解するためには、最低限のリテラシーと、自分の判断軸が必要になります。
その土台を、この先の章で一緒に作っていきましょう。
第4章|知っておくべきリスク軽減策:優先劣後方式の仕組み
「“保証”じゃない。でも、“守り方”はある。」
「元本が返ってくる保証はない」と聞くと、不安になりますよね。
でも、そこで終わってしまうと、選択肢が極端になりすぎてしまいます。
実は、不動産CFにはリスクを軽減する仕組みが備わっているケースがあります。
その代表格が、「優先劣後方式(ゆうせんれつごほうしき)」というスキームです。
4-1. 優先劣後方式とは?──“損失クッション”の仕組み
この仕組み、少し言い換えると「運営会社がまず“身を削る”ことで投資家を守ろうとする構造」と言えます。
具体的には、投資家が「優先出資者」、運営会社(または関連会社)が「劣後出資者」として出資を行い、**リスクが生じたときに“劣後側が先に損を被る”**という仕組みです。
▽役割のイメージ
出資者 | 立場 | 損失が出た場合 | 配当の順序 |
---|---|---|---|
投資家 | 優先出資者 | 損失は後回しで受ける | 優先的に配当を受け取る |
運営会社等 | 劣後出資者 | まずここで損失を吸収 | 配当は後回し |
たとえば、1,000万円の物件に対して、
- 投資家が900万円出資(90%)
- 運営会社が100万円出資(10%・劣後出資)
という構造だったとします。
この物件が950万円で売却された場合、最初に損失を被るのは運営会社の劣後出資100万円であり、投資家の900万円は満額で戻ってくるという構造になります。
4-2. ただし「絶対安全」ではない──限界も知っておく
大事なのは、この仕組みは“保証”ではなく、“一定の損失までなら吸収できる”という防波堤的なものに過ぎないという点です。
想定外の事態で、劣後出資額以上の損失が出てしまえば、当然ながら投資家の出資にも損失が及ぶ可能性があります。
たとえば、
- 想定利回り7%のファンドで物件が半値で売却
- 長期にわたる空室で賃料が激減
といったケースでは、優先劣後構造を超える損失となり、優先出資者である投資家も元本割れを免れません。
優先劣後の「割合」も重要なチェックポイント
案件ごとに「劣後出資割合」は異なります。
- 10%しかない案件もあれば、
- 30%超の厚いクッションを用意しているケースもあります。
この**「劣後の厚さ」=“どこまで守ってくれるか”**の目安なので、ファンド選びでは必ず確認しましょう。
“損失が発生しても全額守られるわけではない”
これは何度でもお伝えしたいことです。
優先劣後方式は、「投資家の資金を守る」ための仕組みとして優れている一方で、それでも「限界がある」ことを前提に、リスク分散や投資スタイルとの相性を見極める必要があるのです。
では、実際にどんなリスクが発生しやすいのか。
次章では、不動産CFにおいて“起こりうる代表的なリスク”を6つに整理してご紹介します。
第5章|不動産CFで想定される代表的なリスク6種
「リターンがあるところに、リスクがある。当たり前のことを、ちゃんと見よう。」
不動産CFの案件を眺めていると、つい「利回り」に目がいってしまいます。
でも、同時に考えなければならないのは**「どんな時に損をするのか?」という想像力**です。
ここでは、不動産クラウドファンディングにおける典型的な6つのリスクを紹介します。
1. 不動産価格の下落リスク
もっとも大きなリスクのひとつです。
物件の売却益が前提となっているファンドでは、市況悪化や近隣競合の出現などで、売却額が大きく目減りする可能性があります。
特に2025年以降、金利上昇や都市部集中型の構造変化により、物件の“出口価格”はよりシビアに見極める必要が出てきています。
2. 賃料収入の低下リスク
運用型(インカム型)のファンドでは、空室率の上昇や賃料の下落が収益を直接圧迫します。
これが長期化すると、分配金が想定より減ったり、元本償還にも影響が出ることも。
3. 修繕・維持管理コストの増加リスク
築年数の古い物件では、予想以上の大規模修繕や給排水設備更新が必要になることがあります。
こうしたコストは配当原資から差し引かれるため、利回りに直結します。
4. 運営会社の倒産リスク
意外と見落としがちですが、運営会社自体が事業停止に陥るケースもゼロではありません。
法律上、投資家資金は「分別管理」されていますが、倒産処理が長期化すると償還の遅れや資金拘束が起こる可能性もあります。
5. 想定利回りとの乖離リスク
「想定利回り」はあくまで予定であり、実際には下回る可能性も常にあるということ。
ここを忘れて「年利7%」を鵜呑みにしてしまうと、実態との差に失望するケースが多くなります。
6. 流動性リスク(中途解約不可)
原則として、運用期間終了まで資金を引き出すことはできません。
ライフイベントや急な資金需要があっても、「今すぐ引き出したい」が通用しないという点には注意が必要です。
“複合的なリスク”を意識する
これらのリスクは個別に存在するだけでなく、同時に複合的に発生することもあります。
たとえば、空室が増えて賃料収入が落ち、さらに売却価格も下がるようなケース。
一つ一つは軽微でも、積み重なれば元本割れリスクが一気に高まるということを頭に入れておくべきです。
では、なぜこれらのリスクが見えづらいのか?
それは、構造的に「見せない・見えにくい」要素があるからです。次章で詳しくお話しします。
第6章|リスクが“見えづらい”構造と潜む課題
「“数字”に惑わされず、“構造”を見る。」
ここまで読んでくださった方は、「あれ、思ってたよりちゃんとリスクあるじゃん」と感じているかもしれません。
でも逆に言えば、それくらいリスクが表に出てこないのが、不動産CFの構造的な特徴でもあるのです。
6-1. 情報の非対称性が大きい
ファンドを運営するのは事業者、情報を受け取るのは投資家。
この関係性には情報の非対称性があります。
- 賃料の下振れリスクがどの程度あるのか
- 売却が失敗した場合のシナリオ
- 管理コストの増加リスク
こういった情報が**“見やすい形”で開示されることは少ない**のが現状です。
6-2. 想定利回りの前提が曖昧なまま提示される
「想定利回り7%」という数値が、
- 満室を前提としているのか
- 退去や原状回復費を含んでいるのか
- 管理費や固定資産税は控除済みかどうか
こうした前提条件が明示されていないケースも多く、読み手がリスクを適切に評価できない構造になっています。
6-3. 中古・小規模物件の流動性リスク
不動産CFで扱われる案件の多くは、中小規模アパートや築年数の古い物件。
この種の物件は買い手が限られるため、「売りたい時に売れない」ことが起こりやすくなります。
しかも、不動産マーケットの流通は価格交渉の余地が大きく、時間もかかるため、投資家にとっては出口が読みづらい投資となります。
リスクを直視することで、初めて「静かな投資」が成り立つ
不安を煽るつもりはありません。
でも、「見ないふり」をしてしまうと、後悔する可能性は高くなります。
本当に“ほったらかしでいい投資”にしたいなら、最初の判断段階で“構造”と“リスク”を丁寧に見ておくことが、最も重要なステップなのです。
次章では、実際に「うまくいった事例」と「失敗した事例」から、学ぶべきポイントを具体的にご紹介していきます。
第7章|実際の成功・失敗事例から学ぶポイント
「思ってたよりうまくいった」も「まさかこんなはずじゃ…」も、どっちもリアルです。
不動産クラファンって、やってみると想像以上に“表情がある”投資なんです。
私自身も初めて手を出したとき、正直「放っておくだけで増えるって楽だな〜」と感じました。でも、その感覚だけで走っていたら、きっと痛い目を見ていたと思います。
ここでは、実際にうまくいった人・うまくいかなかった人のパターンを紹介していきます。
✅ 成功パターン①:あえて「地味なファンド」を選んだ人
SNSで「想定利回り8%!」みたいな投稿を見かけると、ついそっちに心が動くじゃないですか。でも、ある投資家さんは違いました。
「そういう派手な数字が出てるやつより、“リスク情報がしっかり書いてある地味なファンド”を選ぶようにしてるんですよね」と。
これ、めちゃくちゃ正解です。
利回りよりも「どれだけ悪いシナリオを見せてくれてるか」を重視する姿勢って、長く付き合う投資には欠かせない視点だと思います。
✅ 成功パターン②:クッションが厚い=安心材料になると気づいた人
「劣後出資が20%超えてるファンドしか選びません」。
そんな方もいました。ちょっと極端かもしれませんが、言いたいことは分かります。
運営会社が最初に身銭を切る設計──それが優先劣後方式の本質なんですが、この“自分が最後に損をする”構造がちゃんと整ってるかを見るだけで、安心感って段違いなんですよね。
✅ 成功パターン③:地道に積み上げた人
1口1万円のファンドに、最初はお試しで2つ。
そこで分配や報告メールの感覚に慣れたあと、徐々に毎月積み立てるようにしていったという方もいます。
「派手じゃないけど、3年経って気づいたら100万円以上動かしてました」って笑ってたのが印象的でした。
投資って、結局“続けた人”が勝つんですよね。特にこういう仕組み型の投資は。
❌ 失敗パターン①:「利回りだけ」で決めた人
これは定番中の定番です。
「利回りが高い=稼げる」って信じちゃうんですよね。かつての私もそうでした。
でも、あとから分かるんです。その数字、税引前・コスト差引前・想定値でしかなかったって。
しかも「過去実績ゼロ」の事業者だったりして、「え、そもそもこの会社って大丈夫だったの?」みたいな落とし穴にズブズブ入っていくことも…。
❌ 失敗パターン②:全部を“1本のファンド”に突っ込んだ人
「これで老後資金つくろう!」って意気込んで、30万円を一括投入。でもファンドの物件で想定外の空室が続いて、分配金はズレ込むし、売却額も下振れ…。
気づけば、元本の2割が戻ってこないままという結果に。
分散って、地味だけど本当に大事です。
「余裕がある時に余裕のある投資」をするのが、静かな投資家の鉄則。
第8章|利回りに潜む「実質受取額」と諸費用・税金の影響
「表示されてる7%が、まるっともらえると思ってた時期が私にもありました。」
投資って、数字に惑わされがちですよね。
“想定利回り7%”って書いてあれば、「年間7,000円くらいもらえるのか〜」と直感的に思う。
でも、ここにいろんな“引かれるモノ”があること、ちゃんと伝えてくれる人って少ないんです。
✅ 想定利回り=税引前の“最大見込み数字”
まず、ファンドの利回りは、ほぼすべてが「税引前・コスト控除前」です。
つまり、
- 約20.315%の源泉徴収税がまず引かれる
- ファンドによっては運用報酬や契約手数料が組み込まれている(されてないときもある)
この時点で、手取りの利回りはだいたい5.5〜6.0%台まで落ちます。
✅ 表示されない“想定外コスト”が収益を下げる
運営中のコストって、広告やファンド概要ではそこまで書いてません。
でも実際には──
- 空室が続いた → 賃料下落・広告費増
- 雨漏りや老朽化 → 修繕費・清掃費が増
- 物件売却が遅れた → 分配・償還スケジュールのズレ
などなど、“微妙に下がる”要因が小出しに効いてくるんです。
だからこそ、「この利回りってどんな前提で出してるんだろう?」と一歩踏み込んで見てみることが大事です。
✅ 税金の存在、ついつい忘れがち
「源泉徴収されてるから申告しなくていいんでしょ?」と思いきや、20万円超の雑所得があれば確定申告が必要。
副業収入がある人や、フリーランスの方は、1円から課税対象になることもあります。
しかも住民税申告を忘れると、後日通知が来て、「え、なんでこんなに…」ってびっくりするパターンも。
📌 利回りの数字を“鵜呑みにしない”姿勢が、結局いちばん守ってくれる
「そんなに甘くない」と分かったうえで、それでもやる。
だからこそ、“想定通りにいったとき”が、より嬉しく感じられる──それが不動産CFの醍醐味でもあります。
第9章|投資スタイル別|不動産クラファンの向き・不向き
「自分のペースと、この仕組みのテンポが合ってるか」って、大事なんですよね。
投資って、収益性や仕組み以前に、**“性格の相性”**ってものがあります。
ここでは、あなたのスタイルに不動産クラファンが合うのか、逆に向いていないのかを整理してみましょう。
✅ 向いている人の特徴
少額から始めてみたい初心者
「いきなり株やFXはちょっと怖い…」
そんな人でも、1万円から始められる不動産CFなら心理的ハードルが低くて済みます。
忙しくて投資に時間をかけられない人
日中は仕事、夜は子育て。そんな生活の中で、ほったらかしでも動いてくれる資産って、本当にありがたい存在です。
社会性・テーマ性を重視したい人
「地域活性」「教育支援」「医療施設支援」など、“お金の使われ方”に納得感を持てる投資をしたい人にも不動産CFはマッチしやすいです。
❌ 向いていない可能性がある人
元本が減るのは絶対にイヤな人
残念ながら、不動産CFは「預金」ではありません。
少なからず元本リスクがある以上、「1円も減らしたくない」なら他の選択肢(国債・保険など)を検討した方がいいかもしれません。
途中で資金を引き出したくなる人
原則として、運用期間終了まで途中解約は不可です。
「急にお金が必要になったから引き出したい」──これが通用しないのは、デメリットと言えるでしょう。
📌 “合っている投資”は、続けられる投資
人によっては「半年でやめたくなる投資」、
でも、別の人にとっては「10年付き合える資産形成のパートナー」。
だからこそ、ライフスタイルやお金との付き合い方に応じて、“しっくりくる投資”を見つけることが何より大事です。
第10章|編集部推奨:リスク開示が丁寧な不動産CFサービス例
「結局、“どこがいいのか”がいちばん知りたいんですよね。」
ここまで、不動産クラファンのリスクや構造、実例などを一通り見てきました。
とはいえ、「じゃあ、どこなら信頼できそう?」というのが、正直なところ気になりますよね。
ここでは、Quiet Money Lab編集部として、“リスク開示の姿勢が丁寧”と感じられる事業者を厳選し、読者視点でご紹介します。
選定基準は“信頼の土台があるか”です。
🏢 1. CREAL(クリアル)
東証グロース市場に上場している、いわば“顔が見える”不動産CF。
CREALの特徴は、事業の透明性が高いことに尽きます。ファンドの募集ページを見ると、以下のような点がしっかり記載されています。
- 想定利回りの前提(満室/賃料水準)
- 空室率が上がった場合の収益変動
- 売却想定価格の根拠
- 優先劣後出資の比率(物件ごとに異なる)
また、決算資料や財務情報が開示されているため、運営会社としての信頼度も一定水準が担保されています。
「“しっかりしてる会社”が運営してる安心感が欲しい」
そんな方には、最初の一歩におすすめです。
🏘️ 2. 利回りくん
投資というより、“応援したくなる”不動産ファンド。
「利回りくん」は、物件だけでなくその“テーマ”に共感して投資したい人向けの仕組みです。
たとえば──
- 廃校を活用した教育施設ファンド
- 地域再生をテーマにしたシェアハウス事業
- 高齢者支援施設への投資
といった案件が多数。
「利回り」だけで判断せず、“この案件に関わってみたい”と思える物件を選びたい人には特に向いています。
資料面でも、リスク要因・資金使途・事業計画の簡易説明があり、初心者にも分かりやすく整えられています。
🛡️ 3. TOMOTAQU(トモタク)
「これまで元本割れゼロ」…その実績だけで終わらない安心感。
トモタクの魅力は、「優先劣後出資」+「マスターリース契約」の二重構造で、かなり手厚く“守り”を意識している点にあります。
マスターリースとは、空室でも一定の賃料が保証される契約。これにより収益の安定感が格段に増します。
「短期で使わない資金を、とにかく安全第一で置いておきたい」
そんなタイプの投資家にフィットする構造です。
🔍 編集部からのひとこと
「どこがいいか?」よりも「どこが“合う”か?」が本当は大切です。
たとえば、“少しでも高く増やしたい”人と、“堅実に守りたい”人では、選ぶサービスも変わります。
第11章|「これから始める」人へ:5つのセルフチェック
「やってみたい。でも、本当に自分に合ってるのかな?」
いざ始めようと思っても、「本当に今の自分に向いてるのか」が分からないと、なかなか踏み出せませんよね。
そんな方のために、簡単に“相性チェック”ができる5つの質問を用意しました。
✅ YES/NOで診断してみましょう
Q1:少額から、まずは試してみたい?
YES / NO
Q2:投資にかけられる時間は少ない?
YES / NO
Q3:元本よりも利回りが魅力に感じる?
YES / NO
Q4:1~2年くらい資金をロックしても平気?
YES / NO
Q5:物件管理や運用には関わりたくない?
YES / NO
🔍 判定の目安
- YESが4つ以上:不動産CFとの相性◎
→「静かに増やす」戦略にぴったり。まずは少額で始めてみてOK。 - YESが2~3つ:もう少し検討余地あり
→ 他の投資(NISA・投資信託)と比較しつつ、相性を見極めましょう。 - YESが1つ以下:他の手段が合う可能性あり
→ 流動性や元本保全性を重視するなら、預金・国債などを検討しても◎
ちなみに、私自身は最初YESが2つでした。
でも、「なんとなくやってみたい」という気持ちが勝って、まずは1万円。
気づけば3年継続していて、自分でも驚いています。
“やってみないと分からない”のも、また事実なんですよね。
第12章|元本割れだけじゃない?税務や確定申告の留意点
「あの…これって、税金かかるんですか?」
…よく聞かれます。
結論から言うと、はい、かかります。しかも、ケースによっては申告が必要になることも。
✅ 不動産CFの分配金は「雑所得 or 配当所得」
多くの不動産クラファンでは、分配金に対して20.315%の源泉徴収が最初から差し引かれています。
一見これで“税金は済んでいる”ように感じますが、実際には以下のようなケースで確定申告が必要になります。
🔍 申告が必要になる主なケース
- 会社員で副収入(雑所得)が年間20万円を超える
→ 不動産CFの分配金もその対象です - フリーランス・副業ありの人
→ 雑所得が1円でもあれば、全額申告が必要 - 住民税の申告漏れを防ぎたい人
→ 源泉徴収されていても、自治体によっては申告が必要な場合あり
✅ 確定申告ってどうやればいいの?
ここで焦らなくてOKです。
多くの事業者では「年間取引報告書」などを発行してくれるので、
それを税理士や会計ソフトに渡せば、スムーズに申告できます。
- freeeやマネーフォワードを使えば初心者でも自動計算
- 税理士に相談したいなら「年間5,000円~1万円」で受け付けてくれるサービスもあり
「税金のことが分からなくて、結局始められなかった…」
という人がけっこう多いんです。
でも、仕組みを知って、早めに慣れておけば、2年目からは“いつものこと”になります。
税金との付き合い方も、資産形成のひとつなんですよね。
第13章|投資スタート前に欠かせない「リスク許容力」の把握
「失敗したくない」って気持ち、誰だってありますよね。でも、“ゼロリスク”を求めると、資産は動かなくなるんです。
投資を始めるとき、利回りや手数料、税金の話ばかりに目がいきがちですが、
実はもっと大事なのが「自分のリスク許容度を知ること」。
これが分かっていないと、「ちょっと値動きがあっただけで不安になって解約しちゃった」なんてことにもなりかねません。
✅ ステップ1:損失時の“心理的許容度”をイメージする
たとえば──
「10万円投資して、7万円になったときに冷静でいられるか?」
ここがひとつの分かれ目です。
もちろん誰だって損はイヤです。でも、「許容できる幅」って人によって全然違うんですよね。
- 「3万円の損は想定内」と思える人は、リスク許容度やや高め
- 「1万円でも減るのは無理」な人は、慎重派
どちらが正しい、ではありません。
“今の自分がどちらなのか”を把握しておくことが大切なんです。
✅ ステップ2:そのお金は“どんな性格”の資金か?
「将来使うかもしれない教育資金」なのか、
「余剰資金で、3年くらい寝かせておけるお金」なのか。
お金にはそれぞれ、“役割”があります。
この役割が不動産クラファンの仕組み(1~2年のロック期間、流動性低め)と噛み合っているかを確認しておくと、判断がブレにくくなります。
✅ ステップ3:投資の“目的”を言葉にしてみる
- 「毎月の分配金で生活費を補いたい」
- 「ポートフォリオの一部として分散したい」
- 「不動産の運用に関わる経験を積みたい」
目的が明確だと、「想定外の下振れ」が起きても、慌てなくなります。
🧠 リスク許容度を言語化することの効用
リスクを完全に避けるのではなく、
「このくらいの損失までは自分の中でOK」と先に決めておく。
それだけで、投資中の心理的ブレは大きく減らせます。
私自身も、最初にやったのは“紙に書き出すこと”でした。
「このお金は3年使わない」「このくらいの損なら許容範囲」──
そんなふうに“感情を整理してから”投資を始めたら、安心感が違いました。
投資に必要なのは、知識だけじゃない。
“自分を理解する力”こそが、一番の武器になるのかもしれません。
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リスク許容度診断からわかる自分に合った投資法 – Quiet Money Lab
第14章|Q&A:よくある疑問点を解消
「ちょっと聞きたいんだけど…」が、実はすごく大事なことだったりします。
初心者向けの不動産クラファン解説をしていると、よく聞かれるのがこのあたりの質問です。
ここでは、読者のリアルな不安や疑問に“等身大の視点”で回答してみます。
❓Q1. 運営会社が倒産したら、どうなるんですか?
▶ A. すぐに投資家のお金が消えるわけではありません。
法律上、不動産クラファンの資金は運営会社の資産とは「分別管理」されています。
そのため、会社が倒産しても、投資家のお金が“債権者に持っていかれる”ことは基本的にありません。
ただし、破産手続きや精算には時間がかかるため、「償還の遅延」や「手数料の増加」などが起こる可能性はあります。
❓Q2. 想定利回りって、どれくらいの確率で達成されるんですか?
▶ A. 達成されることも多いですが、“確定ではない”が前提です。
ファンドによっては「過去の実績では想定通り」なケースもあります。
でも、それは**“将来もそうなる”という保証ではない**んです。
たとえば、
- 空室が続く
- 売却先が見つからない
- 修繕費が想定以上に膨らむ
など、リターンを押し下げる要因は常に潜んでいます。
❓Q3. 元本割れって、どのくらいの可能性で起きるんですか?
▶ A. 劣後出資があることで“ある程度の下落”までは吸収されます。
たとえば、10%の劣後出資があれば、物件価格が10%まで下がっても、投資家の元本は守られる設計になります。
ただし、それ以上の下落や運営リスクが発生すれば、投資家側にも損失が及ぶ可能性はあるという前提です。
❓Q4. 確定申告って難しいですか?
▶ A. 最初は戸惑うかもしれませんが、1回やれば慣れます。
最近は、各サービスが年間取引報告書をダウンロード形式で提供してくれるため、
freeeやマネーフォワードなどの会計ソフトを使えば、自動計算も可能です。
「1回やってみたら、あとは“いつものやつ”になりました」
そんな声も多いです。
🧭 疑問の裏には、“期待と不安”の両方がある
たいていの質問には、「本当はこうあってほしい」という期待が含まれています。
だからこそ、不安をゼロにするんじゃなく、納得感を持って一歩踏み出せるようにすることが大切だと思うんです。
第15章|絶対安心は存在しないからこそ、リスクを知って備える
「1万円から投資できます」って言われると、なんだか無敵な気がしてきちゃうんですよね。
でも、その1万円にだって、“ちゃんとリスクがある”という事実は、決して軽視すべきではありません。
✅ 「リスクがない」と錯覚してしまう構造
- 自分が物件の名義人じゃない
- 投資金額も少ない
- 手間もかからない
──これらの条件が揃うと、投資であることを忘れてしまいがちなんです。
でも、「完全放置できる」っていうのは、“手間はないけど責任も手放す”って話ではないんですよね。
✅ リスクは“なくす”よりも“見える化”する
投資をする以上、リスクはなくなりません。
でも、
- どんなリスクがあって
- どこまでなら自分が許容できて
- 何が起きたらどう動けばいいのか
これが見えていれば、必要以上に怖がらなくて済むんです。
“知らないこと”が、いちばん人を不安にさせます。
“知ってるけど受け入れてる”は、強さになります。
✅ 時代は変わっていく。不動産CFもまた変わっていく
近年、ブロックチェーンを使った不動産ST(セキュリティトークン)や、二次流通可能なCFも登場し始めています。
運営会社の情報開示も年々進化しています。
つまり、不動産クラファンは**“今が完成形”ではなく、“これからが本番”の投資**なんです。
だからこそ今、**「仕組みを理解し、納得した上で始めること」**が大きな差になっていくと思います。
第16章|まとめ:自分の選択を「納得」できる情報収集を
「損をしないこと」じゃない。「納得して選ぶこと」こそが、投資で最も大事な価値観だと思っています。
ここまで、不動産クラファンの仕組み、リスク、守りの仕掛け、向き不向きまで──かなり丁寧に見てきました。
もし今、「想像よりも複雑だったけど、ちょっとだけ見えてきたかも」という気持ちになっているなら、それは素晴らしい第一歩です。
✅ 元本保証はない。でも、守る構造はある
確かに、不動産CFは元本保証の金融商品ではありません。
でも、だからといって“危ないだけ”の投資でもないんです。
- 優先劣後方式で一定の損失をカバーする仕組みがある
- 案件ごとに空室リスクや運用体制も明記されるようになってきた
- サービス比較や分散投資を行えば、初心者でもリスクは軽減できる
こういった要素を**「知って選ぶこと」そのものが、最大のリスクヘッジになる**と、私は思っています。
✅ 情報との距離感が、あなたの投資スタンスを決める
人は、“分からないもの”に対してはネガティブに反応しがちです。
それが金銭に関わることなら、なおさら。
でも、その「分からなさ」は、**努力や知識で少しずつ解消していける“可変のもの”**です。
そして、その変化こそが、投資家としての「自分軸」を育ててくれるはずです。
✅ 「自分の答え」を持つために必要なこと
Quiet Money Labでは、情報を「結論」ではなく「問いかけ」として届けるようにしています。
- あなたにとって、このファンドは“納得して持てるもの”か?
- このサービスは、ライフスタイルと本当に合っているか?
- 万一のときでも、「想定していたから大丈夫」と思えるか?
この問いに「YES」と言える状態をつくることが、投資における“納得”のスタートラインです。
「ここまで読んできて、ちょっと疲れたな…」という方もいるかもしれません。
でも、それは“向き合った証拠”です。
それだけでも、きっとこれからの資産形成の中で、静かな強さになってくれると思います。
ここまで読んでみて不動産クラファンを始めてみたいと思った方はこちらから不動産クラファンサービスを確認してみてください。
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【あとがき】合理的な独自視点:クラファンがもたらす未来と課題
「これからどうなるか」ではなく、「自分はどう向き合うか」が本質だと思う。
最後に、不動産クラウドファンディングの未来と課題について、3つだけ記しておきます。
ちょっと視点を高く、そして遠く──未来を見てみましょう。
① デジタル証券と“流動性革命”
今後、不動産CFはブロックチェーン技術の活用により、「投資持分の証券化=ST(セキュリティトークン)」が進むと予想されます。
もし、個人が保有しているファンドの持分が、将来的に**「売買可能な金融商品(デジタル証券)」として流通**できるようになれば、
最大の弱点だった「途中解約できない」という流動性の課題が大きく変わる可能性があります。
これは、制度・技術・金融リテラシーの交差点にある投資革命のはじまりとも言えるかもしれません。
② 金利上昇局面で問われる「出口戦略の質」
2025年以降、国内金利はゆるやかに上昇傾向に入るとも言われています。
このとき、気になるのは「物件の出口価格(売却価格)」です。
買い手が住宅ローンを組みにくくなると、売却価格が下振れしやすくなり、投資家への分配原資にも影響します。
つまり、「ファンド期間中の安定」だけでなく、「出口設計が緻密に描かれているか」も今後は重視される時代に入るでしょう。
③ 投資家保護制度の進化と“透明性の格差”
現時点で、法律的な投資家保護は十分とはいえません。
特に非上場の事業者が運営するCFでは、倒産時の対応や管理スキームの違いが企業ごとにまちまちです。
その中で、
- 財務情報を定期開示しているか
- 管理体制や監査法人があるか
- トラブル時の対応実績はどうか
こうした“透明性の差”が、今後の信頼性評価に直結してくると私は考えています。
CFという仕組みは、時代によって姿を変えながら、“誰かの挑戦を後押しする資金の流れ”として進化しています。
投資家は、ただの出資者ではありません。
社会の循環の一部として、その未来を“静かに支える存在”にもなれるんです。
注釈
本記事は、特定の商品・サービスの推奨や勧誘を目的としたものではありません。
投資には元本割れのリスクがあり、利回りや分配実績は将来の成果を保証するものではありません。
制度・法令・税制は2025年時点の情報をもとに作成しており、将来的に変更される可能性があります。
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