第1章|NISAとiDeCo、今なぜ注目されるのか?
「積立投資は続けるだけでいいんだよ」って、そんな言葉を聞いたことはあるかもしれません。でも、正直なところ──続ける以前に、何から始めたらいいのかわからない。そんな状態の方も多いのではないでしょうか。
ここ数年、資産形成という言葉が広く浸透し、「NISA」や「iDeCo」を耳にする機会も一気に増えました。
しかし、2024年~2025年にかけての制度改正を受けて、この2つの制度は「選ぶもの」から「組み合わせて使いこなすもの」へと、役割が大きく進化しつつあります。
🔸NISAとiDeCoの“併用”が、なぜ今注目されるのか?
結論から言えば、それは次の3つの背景があるからです。
- ✅ NISAが“無期限・恒久化”され、人生の資産設計に本格活用できる制度になった
- ✅ iDeCoの加入可能年齢が70歳未満に拡大され、老後資金の準備がより柔軟になった
- ✅ 拠出限度額や控除の見直しが加速し、「併用メリット」が最大化されつつある
たとえば、新NISAでは年間360万円(つみたて投資枠120万+成長投資枠240万)まで投資が可能で、しかも運用益は非課税で無期限保有できます。
一方で、iDeCoは原則60歳まで引き出せないという制約はあるものの、掛金全額が所得控除対象(=課税所得が減る)。つまり、NISAは利益を守る制度、iDeCoは課税対象を減らす制度。性質がまったく違うからこそ、併用する価値が際立ってくるのです。
🔸制度が大きく変わった「今こそ」、見直すチャンス
2023年以前のNISAやiDeCoの制度は、はっきり言って、**「使いにくさ」**がありました。
NISAは非課税期間が決まっていて、途中で売ったら枠が消えてしまう。iDeCoは制度はいいけれど、会社員だと拠出限度額が狭く感じる──。
でも、今は違います。
- 🔹 NISAは生涯で最大1,800万円(うち成長投資枠1,200万円)の非課税枠
- 🔹 2024年末以降、iDeCoも拠出上限額が拡大。企業年金(DB等)に加入している会社員でも月2万円まで可能に
- 🔹 さらに、iDeCoの加入年齢が65歳未満→70歳未満へ拡大(※一定条件あり)
かつては「NISAかiDeCo、どっちを使おう?」という選択肢だったものが、今では“併用”こそがスタンダードになりつつあるのです。
🔸中期資金と老後資金、2つの資産を同時に育てる
私が実際にアドバイスする中でも、こんな悩みをよく耳にします。
「教育費の準備もしたいけれど、老後資金も気になる」
「どちらに資金を振るべきか、優先順位がつけられない」
「投資を始めたいけど、損をするのが怖い」
──こうした迷いに対して、**NISAとiDeCoの“役割分担”**という考え方がとても有効です。
制度 | 主な用途 | 引き出し可能時期 | メリット |
---|---|---|---|
NISA | 中長期資金 | いつでもOK | 運用益・売却益が非課税 |
iDeCo | 老後資金 | 原則60歳以降 | 掛金が所得控除で節税できる |
2つの制度をバランスよく活用することで、将来の不安を分散しながら、今の生活を圧迫せずに資産形成ができるのです。
🔸怖がらず、でも急がず。まずは“枠”を知ることから
焦ってiDeCoに満額拠出する必要もありません。NISAの枠を全部埋める必要も、最初はありません。
大切なのは、「どうせよくわからないから」とスルーしてしまうことを避けること。
特に、2026年から始まるiDeCoの「10年ルール」(一時金を受け取ってから10年間は退職所得控除が使えなくなる)など、知らないと損をする制度改正も控えています。
本記事では、このような背景を踏まえながら──
- なぜNISAとiDeCoを併用すべきなのか?
- それぞれの制度の強みと弱みは?
- どちらをどの順番で活用するのがベストなのか?
- そして、最新制度改正にどう備えるべきか?
を、数字・構造・ライフプランの3つの視点から掘り下げて解説していきます。
最初の一歩は、「全額投資」ではなく、「理解しようとすること」。
焦らなくてもいい。でも、いつまでも“知らないまま”ではもったいない。
NISAとiDeCoの正しい使い方は、将来の自分を“じわじわと助けてくれる”、そんな穏やかで力強い存在です。
次章では、NISAとiDeCoの制度の違いとそれぞれの基本を、図解と実例を交えながらやさしく整理します。
第2章|制度の基本と違いを再確認:非課税と節税の正体
「どっちが得なんですか?NISAとiDeCo、正直よくわからなくて…」
こんなご相談、本当によくあります。実際、私も最初に資料を見たとき、「これ、並べて比較できないと無理…」と感じたのが本音でした。
でも、ある日ふと思ったんです。この2つって、性格がまったく違うだけで、どっちが優秀とかじゃないんだなと。
🔸そもそも「NISA」と「iDeCo」は、別ジャンルの制度
まず押さえておきたいのは、NISAとiDeCoを**「比較して優劣を決めるものではない」**という点です。
項目 | NISA(新NISA) | iDeCo(個人型確定拠出年金) |
---|---|---|
主な目的 | 中長期資産形成 | 老後資金の準備 |
投資枠 | 年間最大360万円(生涯1,800万円) | 月額5,000円~上限額(年81.6万円など) |
引出し | いつでも可能 | 原則60歳まで引き出せない |
節税効果 | 運用益が非課税 | 掛金が所得控除+運用益非課税+控除 |
使い方 | 柔軟な資産運用 | 長期固定でコツコツ積立 |
つまり、NISAは「利益を守る制度」、iDeCoは「収入を減らして節税する制度」です。
この“構造の違い”を理解することが、併用戦略の第一歩になります。
🔸NISA:いつでも引き出せる“使いやすさ”と非課税メリットが魅力
NISA(2024年からの新NISA)は、資産形成のベースとなる制度です。
- ✅ 年間360万円まで(つみたて120万円+成長投資枠240万円)
- ✅ 生涯で最大1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)
- ✅ 利益や配当がすべて非課税
- ✅ いつでも売却OK。引出制限なし
たとえば、あなたがNISA口座で投資信託に50万円投資し、70万円で売却したとします。
通常の課税口座なら約20%(=4万円以上)の税金が引かれますが、NISA口座なら非課税=70万円がそのまま手元に。
しかも、2024年以降は**非課税保有期間が“無期限”**になったため、「いつ売ればいいか…」と悩まなくてもOKに。
投資初心者こそ、NISAの「逃げられる制度設計」に助けられる──これ、実感として本当にあります。
🔸iDeCo:「節税+強制貯蓄」のダブル効果が魅力
一方のiDeCo。正直、最初は“扱いづらさ”を感じる方も多いかもしれません。
- ✅ 掛金全額が所得控除(例:年24万円の拠出で税負担が約5万円軽減)
- ✅ 運用益は非課税
- ✅ 受取時には「退職所得控除」や「公的年金等控除」が適用
- ✅ 原則60歳まで引き出せない(=資金拘束される)
つまり、NISAのように「自由に使えるお金」ではないんですね。
でもその代わり、節税インパクトが非常に大きいのがiDeCoの特徴。
たとえば、年収600万円の会社員がiDeCoで月2万円拠出すれば、年間24万円の掛金が全額所得控除され、所得税・住民税でおよそ5万円前後の節税に。
税率が高い人ほど「iDeCo=最強の節税口座」になる。これは数字で説明がつく事実です。
🔸運用商品も違う?似ているようで、実は大きく違います
NISAもiDeCoも、基本的には「投資信託」「ETF」などを使って運用しますが、その中身は微妙に違います。
制度 | 投資対象 | 備考 |
---|---|---|
NISA | 株式・ETF・低コスト投信(国指定あり) | つみたて枠は金融庁指定投信に限定 |
iDeCo | 元本確保型商品・投資信託 | 金融機関が選定した3〜35本から選択 |
特にiDeCoは、「自分で金融機関を選び、商品の配分も決める」制度です。
投資未経験の方にはハードルが高く感じるかもしれませんが、ここは金融機関選び次第。
実際、eMAXIS SlimやSBI・Vシリーズなど低コストインデックスファンドを選べば、NISAとほぼ同じ商品設計も可能なんです。
🔸iDeCoの「引き出せないリスク」とどう付き合う?
これは読者の方からもよく聞かれる不安の声です。
「急にお金が必要になったらどうするの?」
「60歳までって、正直ちょっと長すぎない?」
この答えはシンプルで、iDeCoは“余裕資金で使う”のが鉄則です。
だからこそ、生活防衛資金は預貯金 or NISAで持つ。iDeCoには「使う予定が当分ないお金」だけを回す。
むしろ、iDeCoは**“引き出せないからこそ、老後資金になる”**という視点が大切です。
🔸FP的視点:「ライフプランとの整合性」がすべてを決める
ここまで読み進めて、「なるほど、制度の違いはわかった。でも、結局どっちを先に使うべき?」と思われたかもしれません。
その答えは、あなたのライフプランによって変わります。
- 👶 教育費が10年以内に必要 → NISAを優先
- 💼 所得税率が高い → iDeCoから節税メリットを得る
- 🏠 住宅購入が近い → 資金拘束のあるiDeCoは慎重に
- 👴 老後の年金に不安がある → iDeCoで受取設計を検討
「税制メリット」だけで決めるのではなく、自分の人生のタイミングと制度の特性を合わせる。
これが、Quiet Money Labが繰り返しお伝えしている「構造で考える投資判断」の視点です。
🔸まとめ:比較ではなく、“併用”が前提の時代へ
もはや、NISAとiDeCoは「どっちが得か?」を争う制度ではありません。
- NISAは「自由に育てる」中期資産
- iDeCoは「引き出せない代わりに守ってくれる」老後資産
この2つを併用することで、はじめて未来のあらゆるリスクに耐えうる資産設計ができる。
それが、「新しい資産形成のスタンダード」だと私は思っています。
▶ 次章では「実際にどちらから始めるべきか?」──iDeCoとNISAの拠出順序の設計戦略に迫っていきます。
第3章|拠出の優先順位と考え方:どちらから始めるべき?
正直、最初に迷うのはここじゃないでしょうか。「iDeCoから始めるべき? それともNISA?」──。
私自身、この問いに対して何度も何度もシミュレーションしてきました。年収が違えば、家族構成が違えば、正解は違う。だからこそ、単純に「これが正解!」とは言えない難しさがあるんですよね。
🔸原則の出発点:「生活防衛資金が確保されているか?」
拠出の優先順位を考えるうえで、最初にチェックしたいのがこれです。
「60歳まで引き出せないiDeCoを先にやっていいのか?」
「もし急にお金が必要になったら?」
こうした不安は、多くの人にとって**最初の“心の壁”**です。
結論から言えば──
👉 生活防衛資金がない状態で、iDeCoを優先するのはおすすめしません。
なぜなら、iDeCoの最大の弱点は「資金の流動性がないこと」。
これは裏を返せば、絶対に崩したくない“老後資金の金庫”としての価値でもあるのですが、現役世代の私たちには「もしもの時に使えない」というのは致命的な不便でもあります。
🔸NISAは“使える資金”を育てる箱、iDeCoは“使わない資金”を積み立てる箱
Quiet Money Labでは、資金の使い道ごとに制度を「箱」として分けて説明しています。例えば…
- 🔹 NISA → 中期資金(3〜10年以内の教育費、住宅費なども含む)
- 🔹 iDeCo → 長期資金(60歳以降の生活費、退職後の収入補填)
この違いは「お金の温度」で分けるとわかりやすいです。
資金の温度 | 具体例 | 最適な制度 |
---|---|---|
高温(すぐ使う) | 医療・教育費等 | 現預金・定期預金 |
中温(数年内) | 車購入・住宅頭金 | NISA |
低温(将来用) | 老後資金 | iDeCo |
🔸節税メリットだけで判断すると失敗する
「iDeCoのほうが節税になるからお得」とよく言われます。
確かに、掛金が全額所得控除されるのはとても大きなメリットです。
たとえば、年収600万円の人が月2万円(年24万円)をiDeCoに拠出した場合──
年間で約4.8万円の税金が減る計算になります(所得税+住民税20%前提の場合)。
でも──ここで立ち止まって考えてほしいのです。
「そのお金、来年必要になる予定はありませんか?」
「本当に、10年後も余裕を持って持ち続けられますか?」
iDeCoは一度始めると、60歳まで引き出せません。
つまり、未来の自分のために、今の自分を縛る制度とも言えます。
🔸最初の順番は「NISA→iDeCo」がおすすめな3つの理由
以下のようなライフステージの方には、まずNISAから始めてみることを強くおすすめします。
理由①:途中で売却できる柔軟性がある
- 突発的な出費が発生したときにも対応できる
- 一時的に現金比率を高める調整も可能(例:子どもの入学や転居)
理由②:成長投資枠で積極運用も可能
- 米国株・ETF・アクティブファンドなどに自由に配分できる
- つみたて枠とは異なり、一括購入や自由な売買もOK
理由③:「運用の練習」として適している
- 投資に不慣れな方は、まずNISAで経験を積む
- 相場感覚・値動きに慣れた上で、iDeCoの長期運用に挑戦するのが安全
🔸iDeCoを“後出し”で使う選択肢もある
あまり語られませんが、iDeCoはあとからでも始められます。
最初のうちはNISAを使っておき、余裕が出てきた段階で「節税目的でiDeCoを追加する」という順番でもまったく問題ありません。
特に、以下のような状況の方は、“後出しiDeCo”が合理的です。
- 収入に波があるフリーランス(自営業者):好調な年だけiDeCo拠出増額
- 子育て真っ最中の家庭:出費が落ち着いたらiDeCoスタート
- 単身世帯で支出不安が強い:まずはNISAで資産の流動性を優先
🔸ただし、「拠出上限」に注意!iDeCoは“後出し”だと損するケースも
1つだけ、気をつけてほしいのが拠出可能な上限額は「枠の繰越」ができないという点です。
たとえば、自営業者のiDeCo拠出上限は月6.8万円(年81.6万円)ですが、
仮に今年0円だったからといって、来年2年分をまとめて13.6万円拠出することはできません。
👉 年度内で使わなかった枠は“消滅”します。
つまり、「来年からでいいか」と先延ばしすると、それだけ節税できたはずの金額を失っている可能性があるんです。
🔸Quiet Money Lab式「優先順序ロジック」
最後に、拠出順序を整理した簡易フローチャートをご紹介します。
- 生活防衛資金(最低3〜6ヶ月分)を確保しているか?
→ NO:まずは預金 or NISAで流動性を重視
→ YES:次へ - 年収は400万円を超えているか?(=iDeCo節税効果が見込める)
→ NO:NISAをメインに。iDeCoは少額からでもOK
→ YES:次へ - 教育費・住宅資金など、10年以内に大きな出費予定があるか?
→ YES:NISAを優先。iDeCoは並行 or あとから
→ NO:iDeCoを積極活用で節税・老後対策へ
この判断基準は、FP・会計プロフェッショナルとして実際に顧客と向き合ってきた中で培われたものです。
実務では“制度を使うこと”が目的ではなく、“その制度が本当に人生にフィットするか”がすべて。
🔸まとめ:順番よりも“続けられる設計”が大切
結論を一言で言えば──
拠出の順番よりも、「生活に無理なく組み込めるか?」のほうがずっと大事です。
制度がいくら優れていても、続かなければ意味がありません。
逆に、1,000円でも5,000円でも、コツコツと続けていれば、いつの間にか大きな資産になっている。
そんな未来をつくるために、まずは**「自分にとって、今どれだけ拠出できるか?」**という感覚から始めてみましょう。
▶ 第4章では、「会社員・自営業・専業主婦」などケース別に見る併用戦略を掘り下げていきます。
第4章|ケース別:NISA×iDeCo併用モデルプラン4選
「理屈はわかった。でも、自分の場合はどっちをどれくらいやればいいんだろう?」
この段階で足が止まってしまう方が、本当に多いんです。制度の“使い方”ではなく、“使いどころ”がわからない──それが、最大の壁かもしれません。
だからこそ、ここでは4つの代表的なライフスタイルを想定して、実践的なNISA×iDeCo併用例をお届けします。
🔸Case.1|会社員(企業年金なし)×共働き家庭
💡 プロフィール
- 年齢:30代後半
- 年収:本人550万円、配偶者450万円(共に会社員)
- 企業年金:なし
- 子ども:保育園児2人
- 住宅:持ち家、ローン返済中
💡 使える制度枠
- NISA:各人 年間最大360万円(世帯で最大720万円)
- iDeCo:各人 月2.3万円(年間27.6万円)
📌 アプローチ
- NISA優先+iDeCoはミニマムスタート
- 配偶者は収入控除メリットが低いため、iDeCoよりNISA優先
- 教育費ピーク前のため、資金の流動性を優先
📊 モデル拠出例(月額)
| 本人 | NISA:5万円/iDeCo:1万円 |
| 配偶者 | NISA:3万円/iDeCo:0円 |
| 合計 | NISA:8万円/iDeCo:1万円(年合計108万円) |
✅ 共働き家庭では「夫婦でNISA枠を使い切る」が実は最も効果的です。
✅ 教育資金や家計の変動に備え、iDeCoは“確定拠出”より“余剰資金での拠出”を意識。
🔸Case.2|公務員(企業年金あり)×扶養内配偶者
💡 プロフィール
- 年齢:40代前半
- 年収:本人650万円、配偶者120万円(扶養内)
- 企業年金:共済年金加入あり
- 子ども:中学生2人
💡 使える制度枠
- NISA:各人 年間最大360万円
- iDeCo:本人 月2.0万円/配偶者 月2.3万円
📌 アプローチ
- 本人はiDeCo節税効果を最大限活用
- 配偶者は課税所得がほぼないため、iDeCoの控除効果なし → NISAを活用
📊 モデル拠出例(月額)
| 本人 | NISA:3万円/iDeCo:2万円 |
| 配偶者 | NISA:1万円/iDeCo:0円 |
| 合計 | NISA:4万円/iDeCo:2万円(年合計72万円) |
✅ 公務員で企業年金がある場合でも、iDeCoは月2万円まで可能(2024年以降)
✅ 配偶者のNISAを併用することで、世帯としての非課税投資総額が大きくなる設計に
🔸Case.3|自営業(国民年金第1号被保険者)
💡 プロフィール
- 年齢:30代後半
- 年収:750万円(事業収入)
- 社会保険:国民年金+国保
- 家族構成:配偶者+子ども1人
💡 使える制度枠
- NISA:本人 年間最大360万円
- iDeCo:月最大6.8万円(年額81.6万円)
📌 アプローチ
- iDeCoを“がっつり節税”の武器に使う
- 高収入 × 節税ニーズ × 将来の年金不安 → iDeCoフル活用に相性◎
- 法人化未満の個人事業主で、社会保険料も高いため節税ニーズは切実
📊 モデル拠出例(月額)
| 本人 | NISA:3万円/iDeCo:6万円 |
| 配偶者 | NISA:1万円/iDeCo:0円 |
| 合計 | NISA:4万円/iDeCo:6万円(年合計120万円) |
✅ 所得控除で実質課税所得を減らしながら、老後資金も“自動貯蓄”
✅ 国民年金+iDeCoで「第2の年金柱」を築く
🔸Case.4|専業主婦(第3号被保険者)×世帯主会社員
💡 プロフィール
- 年齢:30代
- 世帯年収:夫600万円、本人収入なし
- 企業年金:あり(DB型)
- 子ども:0歳児1人
💡 使える制度枠
- NISA:各人 年間最大360万円
- iDeCo:夫 月2.0万円/妻 月2.3万円(※控除メリットはない)
📌 アプローチ
- 夫はiDeCo+NISA併用。妻はNISAだけ使う戦略
- 妻のiDeCoは「所得控除の恩恵がないため」優先度低
- 夫の企業年金があるため、拠出上限は2万円に制限されている点に注意
📊 モデル拠出例(月額)
| 夫 | NISA:2万円/iDeCo:2万円 |
| 妻 | NISA:1万円/iDeCo:0円 |
| 合計 | NISA:3万円/iDeCo:2万円(年合計60万円) |
✅ 第3号でもNISA口座は開設可。むしろ「家族のNISA枠を使い切る」戦略は、専業主婦家庭にこそ有効
✅ iDeCoは“税制メリットがある人”に限定活用すべき制度
🔸併用のキモは“役割分担”と“世帯設計”
ここまで読まれた方は、気づかれたかもしれません。
そう、NISAとiDeCoの併用戦略は「制度そのもの」ではなく、**“誰がどう使うか”**がカギなのです。
- iDeCoは、収入があり節税ニーズがある人に
- NISAは、誰でも・いつでも・どんな目的にも使える資産形成ツールに
特に共働き・扶養・専業といった世帯構成の違いが、
「誰のNISAを先に使うか」「誰がiDeCoを優先するか」に大きく関わってきます。
🔸Quiet Money Lab式:3つのチェックで併用設計
- 世帯で使えるNISA/iDeCoの年間枠はいくら?
→ 特に共働きの場合は“夫婦でフル活用”すると非課税額が倍に! - 税率の高い人はiDeCoを優先すべき?
→ 所得控除効果があるのは“課税所得”がある人のみ - 使う予定のない資金からiDeCoに回せるか?
→ 流動性を確保した上で、老後資金を積み立てよう
🔸まとめ:制度は“家族で使いこなす”フェーズへ
NISAやiDeCoは、もはや「個人で選ぶ」制度ではありません。
- 会社員だけの問題でもなく
- 自営業だけのメリットでもなく
- 専業主婦でも無関係ではない
「家族で枠をどう使うか」「誰が先に投資を始めるか」──
そうした生活設計とリンクした資産形成が、2025年以降の資産づくりの“当たり前”になっていくはずです。
▶ 第5章では、実際に「どんな投資商品を選べばいいのか?」──制度ごとの商品選定のセオリーを丁寧に解説します。
第5章|運用商品の選び方:NISAとiDeCo、どう分ける?
正直、ここが一番むずかしいところかもしれません。
「口座は作った。お金も入れた。……で、何を買えばいいの?」何を隠そう、私も最初は“楽天・全米株式インデックス・ファンド”を選びつつ、どこかで「これでいいのか…?」と毎月モヤモヤしていました。
でも今なら言えます。商品選びは“最適解”よりも“納得感”。そして、制度の性格に合った商品設計が9割です。
🔸制度ごとに「合う商品・合わない商品」がある
ここがまず一番のポイントです。
NISAとiDeCoでは、そもそもおすすめ商品が違う。
これは運用目的が違うから。
- NISA:中長期の資産形成+資金の柔軟性が必要
- iDeCo:長期の老後資金形成+途中で引き出せない
つまり、「どう使うか」によって商品選定のルールが変わるということなんです。
🔹iDeCoに適した商品選びのポイントは「コスト」と「長期分散」
iDeCoは老後資金を目的とした制度。60歳までは原則引き出せません。
そのため、商品選びの軸はこうなります。
✅ iDeCo商品選びの3原則
- 信託報酬が0.2%以下の低コスト商品を選ぶ
- 元本確保型 or 長期インデックス型投信を中心に組む
- 複利効果を活かせる“積立+放置”ができる商品
具体的には以下のようなファンドが多く選ばれています:
商品名(例) | 主な特徴 |
---|---|
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス | 信託報酬0.1%台、長期インデックス運用の定番 |
SBI・V・S&P500インデックス・ファンド | 米国株に集中投資。シンプルに“米国一本”戦略 |
ニッセイ外国株式インデックスファンド | 信託報酬の安さで人気。主要先進国への分散投資も可 |
元本確保型定期預金(保険/定期) | リスクゼロだが利率は低い(0.01%程度) |
私のような“リスクは取れるけど不安性高め”タイプには、「6割投資信託+4割元本確保型」のハイブリッド構成が心の安定剤になります。
🔸注意:元本確保型=安心ではない?
一見安全そうに見える元本確保型ですが、以下のような落とし穴もあります。
- 管理手数料(年間2,000〜6,000円程度)を差し引くと利息よりマイナス
- 積立額が少ないと手数料負けしやすい
- インフレに負ける(実質価値が減る)
元本確保型は、あくまで「老後資産の避難先」。育てるための商品ではない、と割り切るのが大切です。
🔹NISAに適した商品選びのポイントは「目的と期間に応じた自由度」
NISAは、つみたて投資枠(年間120万円)と成長投資枠(年間240万円)に分かれており、それぞれで選べる商品が違います。
✅ つみたて投資枠
- 金融庁が認可した“長期・分散・低コスト”の投資信託に限定
- 買付方法は積立のみ
▶ おすすめは「信託報酬0.1〜0.3%のインデックスファンド」
代表的商品 | 備考 |
---|---|
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) | 1本で世界中に投資できる王道商品 |
SBI・全世界株式インデックス・ファンド | 業界最安水準の手数料 |
楽天・全米株式インデックス・ファンド | 米国株特化型の人気ファンド |
特に初心者は“オルカン一択”でもまったく問題ありません。悩んだら世界分散、それが今の時代の正解のひとつです。
✅ 成長投資枠
- 個別株・ETF・REIT・アクティブファンドなども対象
- 一括投資もOK
▶ 商品選びの基準は「目的 × リスク許容度」
目的別分類 | 向いている商品タイプ |
---|---|
高配当が欲しい | 国内株式(高配当株)、米国高配当ETF |
値上がり益を狙う | 米国株、テーマ型ETF、アクティブファンド |
安定的に積立 | つみたてNISA対象投信を成長枠でも購入 |
成長投資枠は“攻め”に見えますが、守りの商品も買えます。
つまり、「積立型×分散投資×NISA非課税」が、つみたて枠だけでなく成長枠でも可能なのです。
🔸Quiet Money Lab式「制度別 商品選びマトリクス」
iDeCo | NISA(つみたて) | NISA(成長) | |
---|---|---|---|
推奨運用期間 | 20年以上 | 10年以上 | 5年以上 |
目的 | 老後の年金形成 | 教育・住宅・中期資産形成 | 配当収入・キャピタルゲイン |
商品選定軸 | 信託報酬の低さ、分散性、複利 | 金融庁指定ファンド、ドルコスト平均法 | リスク許容度・投資目的の明確さ |
課題 | 資金拘束、制度の複雑性 | 投資対象が限定されている | 商品が多すぎて選ぶのが難しい |
🔸選ぶべきではない商品=“仕組みがわからない商品”
たとえば、次のような商品は避けるのが無難です。
- 販売手数料が1%以上かかるアクティブファンド
- 運用方針や中身が不明なテーマ型投資信託
- 短期トレード目的の個別株(NISAでは損益通算できない)
Quiet Money Labでは、原則として**「中身を説明できない商品には投資しない」**をルールとしています。
🔸筆者のポートフォリオ例:2025年版
少しだけ私の例を紹介させてください。
- iDeCo:
- 60% → eMAXIS Slim 先進国株式
- 20% → eMAXIS Slim 新興国株式
- 20% → 元本確保型(定期) - NISA(つみたて枠):
- 100% → eMAXIS Slim 全世界株式(オルカン) - NISA(成長枠):
- 40% → 米国ETF(VTI、VYM)
- 30% → 国内高配当株(個別銘柄)
- 30% → iFreeNEXT NASDAQ100
──これが正解とは言いません。
でも、自分の“お金の温度”と“使う時期”に応じて組んだポートフォリオだからこそ、安心して放置できるんです。
🔸まとめ:商品選びの答えは“制度×時間軸”のマトリクスにある
商品選びに「完全な正解」はありません。
でも、選び方の軸がブレていなければ、“納得して続ける”ことができます。
その軸とは──
- ✅ どの制度で
- ✅ どれくらいの期間
- ✅ どんな目的で
- ✅ どれだけのリスクをとって
商品と向き合うか、という問いそのものです。
投資の一番の敵は、「なんとなく買って、なんとなく不安になること」。
納得できる設計こそ、続けるための最強の武器です。
▶ 次章では、2025〜2026年で変わる「最新の制度改正トピック」を徹底解説します。特に“10年ルール”は要注意です。
第6章|最新の制度改正トピック:「10年ルール」と「拠出限度額」にご注意
「えっ、それ来年から変わるんですか?」
この一言、本当によく聞きます。
投資をしている人の中でも、制度改正の“中身まで”ちゃんと把握している人はごくわずか。Quiet Money Labではいつもお伝えしていますが、制度は“変わるもの”という前提で使うべきです。
特に2024〜2026年にかけて、NISAもiDeCoも“大改正ラッシュ”が進んでいます。
🔸注目の改正1:iDeCo加入可能年齢が「65歳未満→70歳未満」へ
まずは、見落とされがちだけど大事な改正から。
これまで、iDeCoは「65歳未満」の人しか新規加入できませんでしたが、
2024年〜2025年の制度変更により、条件を満たせば70歳未満まで加入可能になります。
✅ 対象になる人は以下のような方
- 60歳以降も国民年金に任意加入している方(受給資格未達)
- 60歳時点でiDeCo加入者・運用指図者だった人
- 企業型DCから移換された年金資産を保有している人
つまり、「60歳になったから終わり」ではなく、「65歳〜69歳までの5年間も節税しながら老後資金を増やせる」可能性が出てきたということ。
特にフリーランスや退職後も収入のある方にとって、
**税金を抑えつつ年金資産を積み増せる“第二ラウンド”**のような活用法になります。
🔸注目の改正2:iDeCoの拠出限度額が大幅拡大
2024年12月〜2025年にかけて、iDeCoの拠出上限も見直されます。
被保険者区分 | 旧上限額 | 新上限額(予定) |
---|---|---|
自営業(第1号) | 月6.8万円 | 据え置き |
会社員(企業年金なし) | 月2.3万円 | 据え置き |
会社員(企業型DCのみ) | 月2.0万円 | 引き上げ可 |
公務員・教職員等 | 月1.2〜2.0万円 | 月2.0万円確定 |
✅ ポイントは“企業型DCとの合算”にあり
企業型DCに加入している方でも、iDeCoの掛金上限が月2万円まで拡大されるようになります。
ただし、この2万円は「企業型DCの掛金+iDeCo掛金の合計」であり、超過はNG。
自分が加入している企業年金制度の内容を、正確に把握していないと、拠出過多で自動減額・停止されるケースもあるので注意が必要です。
🔸注目の改正3:「10年ルール」への移行は“実質改悪”の側面も
ここが、今回の制度改正で最も注意が必要な点です。
これまで:
退職所得控除は「iDeCo or 企業型DCの一時金」と「会社の退職金」を5年空ければ別枠で適用できた(=5年ルール)
これから(2026年以降):
10年空けないと別枠での退職所得控除が適用できなくなる(=10年ルール)
🔹ちょっと専門的に:退職所得控除の仕組みをざっくり解説
退職所得に対する税金は、以下のように計算されます。
- 退職金や一時金を受け取る
- 「退職所得控除」を適用する
- 差し引いた金額の“1/2”に税率をかける
この退職所得控除が、会社の退職金とiDeCo(or企業型DC)の受取が同じ年だと“通算”になり、控除枠が1回分しか使えません。
これまでは、「5年以上間を空ければ別扱いにしてOK」だったのが、今後は10年空けないと別扱いにならないのです。
📌 つまりどういうこと?
- 60歳でiDeCoを一時金で受取
- 65歳で会社を退職して退職金を受取
→ 今までは別枠で退職所得控除が使えたが、2026年以降はダメ
→ 税額が数十万円〜100万円単位で増える可能性もある
「えっ、iDeCoって節税じゃなかったの?」──そう思った方こそ、受け取り方の設計が超重要です。
🔸Quiet Money Lab式:「10年ルール」への3つの対策
✅ 対策1:iDeCoは“年金形式”で受け取る
年金形式(5〜20年の分割)で受け取れば、「退職所得」ではなく「雑所得」扱いになります。
→ 公的年金等控除が適用され、毎年の課税所得を圧縮できる。
✅ 対策2:iDeCoの一時金受取を「退職金より後ろ」にずらす
例えば…
- 60歳:会社を退職、退職金を受取
- 70歳:iDeCoを一時金で受取
→ これなら10年ルールをクリアでき、別々に退職所得控除が適用される。
✅ 対策3:最初から“分けない設計”で動く
「そもそも会社の退職金が少ない or 出ない」人なら、10年ルールは気にしすぎなくてもOK。
むしろ、iDeCoの控除額自体を最大化するシンプル設計のほうが合理的。
🔸ここで一息:私が直面した“受取タイミングの罠”
実は、私も数年前にこの制度改正を先取りしてシミュレーションしていたのですが…
「65歳で退職して、iDeCoも退職金もまとめて受け取ればいい」と思っていたんです。
ところが、詳細を精査すると、「会社の退職金」と「iDeCoの一時金」は同年だと控除額が削られる…と知って愕然。
そこから必死に制度を学び直し、「65歳で会社退職」「75歳でiDeCo一時金受取」にずらす設計を立てました。
👉 iDeCoは節税制度ではあるけれど、“無策に使うと逆に税金が増える”という側面を、声を大にして伝えたい。
🔸まとめ:「制度の未来」は、“変わる前提”で設計するもの
2025年〜2026年の制度改正は、NISAもiDeCoもユーザーに有利な点と、不利な点が混在しています。
項目 | メリット | 注意点/リスク |
---|---|---|
iDeCo加入可能年齢拡大 | 60歳以降も拠出できる | 任意加入や対象条件に注意 |
iDeCo拠出上限の引き上げ | 節税効果がさらに大きくなる | 企業年金との合算制限あり |
「10年ルール」導入 | 制度の整理・一元化(制度的観点) | 実務上の節税設計が困難になる恐れ |
大切なのは、「変わるから使わない」ではなく、「変わることを見越して設計する」こと。
Quiet Money Labでは、制度そのものを信じるのではなく、
制度の“構造”と“限界”を理解したうえで、人生設計に組み込むというスタンスを大切にしています。
▶ 次章では、相場変動や制度改正にも動じずに長く続けるための「投資メンタルと継続の仕組み」をテーマにお届けします。
第7章|長期運用を成功に導くメンタルと仕組み
「結局、損したらどうするんですか?」
投資を始めようとすると、必ずどこかでこの問いに行き着きます。私自身、最初の頃は“損する未来”ばかり想像しては、怖くて一歩が踏み出せなかったんです。
でも、今ならこう答えます。
「損しない方法」はありません。でも、「続けることで乗り越える方法」ならあります──と。
🔸相場の“波”をどう受け止めるかが、投資継続の分かれ道
長期投資の最大の敵は、数字ではなく「感情」です。
特にNISAやiDeCoのような仕組み型投資は、続けてこそ価値が出る制度。
裏を返せば、“やめてしまったら意味がない”制度でもあります。
だからこそ、Quiet Money Labでは数字の話より前に、**「投資をやめない仕組み作り」**を重視しています。
🔹相場が下がったとき、「買えてラッキー」と思えるかどうか
たとえば、積み立てていた投資信託が30%下落したとします。
こんなとき、多くの方がこう考えます。
「やっぱり投資なんてするんじゃなかった…」
「元に戻るまで、何年かかるんだろう…」
──その気持ち、すごくよくわかります。
私もリーマンショックのとき、含み損に耐えきれず、一度全部売ってしまった経験があります。
でも、そこから得た教訓はただ一つ。
「相場が下がったときに買い続けた人だけが、最終的に報われる」
これは感覚論ではなく、実証された事実です。
🔹ドルコスト平均法は“理論”ではなく“心の支え”
NISA・iDeCoの基本戦略である「ドルコスト平均法(定額積立)」は、価格が高いときは少なく、安いときは多く買うことができ、平均購入単価を平準化できます。
でも、これにはもう一つの効能があります。それが──
“感情の波を自動的に平らにしてくれる”こと。
下がったら不安、上がったら欲が出る──この「投資家の感情のバイアス」を、強制的に平準化してくれるのが、自動積立の最大の価値です。
つまり、ドルコスト平均法は「相場に勝つため」ではなく、「自分に負けないため」にあるんです。
🔹半年〜年1回の「資産配分チェック」で不安を“構造化”する
とはいえ、「完全放置」はNGです。
Quiet Money Labでは、次のようなルールで運用状況の見直しを提案しています。
✅ 半年〜1年に1回、以下をチェック:
- 積立している商品が当初の設計通りか?
- リスク許容度が変わっていないか?
- リバランス(比率の調整)は必要ないか?
たとえば、株式比率70%・債券30%で運用していたのに、株が上がって85%になっていた──
そんなときは一部売却して債券側に移すことで、「利益を確定しつつリスクを平準化」できます。
🔹「複利を活かす」には、“やめないこと”が前提
iDeCoやNISAは、どちらも“非課税で複利効果を活かせる制度”です。
しかし、この複利の力は「時間」がなければ機能しません。
✅ 年利5%で運用できた場合のシンプルなシミュレーション(毎月2万円積立)
年数 | 元本累計 | 運用益 | 総資産 |
---|---|---|---|
10年 | 240万円 | 約69万円 | 約309万円 |
20年 | 480万円 | 約346万円 | 約826万円 |
30年 | 720万円 | 約843万円 | 約1,563万円 |
運用益が元本を上回るのは、20年目以降から。
この“ゆるやかなカーブの後にくる急加速”こそが、複利の正体なんです。
🔹感情をマネジメントする“3つの投資メンタル法”
Quiet Money Labでは、次の3つの投資習慣を推奨しています。
✅ 1. 相場を“観察”はしても、“判断”はしない
チャートを見るのはOK。でも、「売ろうか」と考えた瞬間に、その判断は感情に引きずられる。
→ 積立投資家にとって、**“相場を読む必要はない”**ことを繰り返し確認しましょう。
✅ 2. 他人の成果と比べない
SNSなどでは「〇〇が爆益!」という声があふれますが、
iDeCoやNISAは“自分の人生に合った資産設計”をするための制度です。
→ 比較の対象は、他人ではなく「将来の自分」です。
✅ 3. 不安なときほど“自動的に動く仕組み”に身を任せる
不安を感じたときほど、手を動かさず、設定通りに積み立てを続ける。
→ iDeCoやNISAにおける最大の戦略は、「人間の迷いを排除する仕組み化」です。
🔸「数字」と「心」の両輪で、静かな資産形成は続いていく
投資は“期待”と“失望”の繰り返し。でも、その振れ幅がだんだん小さくなっていくと、不思議と静かな安心感に包まれてくる──。
これが、Quiet Money Labがめざす「静かな資産形成」の姿です。
NISAもiDeCoも、「使うこと」より「続けること」が成果を生みます。
- 一度設定したら、あとは自分を信じて
- 暴落が来たら、むしろ「資産の割引セール」と捉えて
- 定期的に見直して、でも慌てずに
このサイクルを“生活に溶け込ませること”こそが、資産運用の成功法則です。
▶ 最終章では、ここまで学んできた「併用の設計」と「実行の第一歩」を、シンプルにまとめてお届けします。
第8章|まとめ:NISAとiDeCoを両輪で回す最強プラン
投資は「いつ始めるか」より、「どうやって続けるか」──。
これまでQuiet Money Labでは、制度の仕組みだけでなく、感情や生活に寄り添う設計まで掘り下げてきました。
最終章では、これまでの学びを“現実の行動”に落とし込むためのプランとマインドセットを、シンプルにまとめていきます。
🔸NISAとiDeCo、なぜ“併用”が最強なのか?
まず大前提として、NISAとiDeCoはライバルではありません。
目的も税制優遇の形も違うからこそ、補完関係にある制度です。
比較項目 | NISA | iDeCo |
---|---|---|
資産の目的 | 中長期資産(教育・住宅・余裕資金) | 老後資金(原則60歳以降に使うお金) |
非課税の対象 | 運用益・売却益 | 掛金全額の所得控除+運用益+給付控除 |
引き出し可否 | いつでもOK | 原則60歳まで引き出し不可 |
投資枠 | 年間360万円(生涯1,800万円) | 年間14.4万円〜81.6万円(上限あり) |
この2つを併用することで──
- 資金の目的ごとにリスクを分散できる
- 税制上のメリットを重層的に得られる
- 「育てるお金」と「守るお金」の設計が可能になる
まさに“資産形成の二刀流”が実現できるのです。
🔸Quiet Money Lab式:3ステップで始める併用プラン
✅ STEP1|自分の「資金の温度」を把握する
- 数年内に使うお金 → NISAで流動性を確保
- 老後資金として確保しておきたいお金 → iDeCoでロックして育てる
🔹目安:「10年以内に使う予定があるかどうか?」が分かれ目
✅ STEP2|月5,000円から始める“ゆるやかスタート”
- NISA:毎月3,000〜10,000円をインデックスファンドで積立
- iDeCo:月5,000円スタートでもOK。無理に満額は狙わなくていい
「始めないより、少額でも始める」──この意識だけで、未来は変わります。
✅ STEP3|半年ごとに「生活と運用のズレ」を見直す
- 家計の変化(教育費・転職・収入減)を反映
- リスク許容度や資産配分をチェック
- 必要があれば掛金の増減やリバランスを検討
🔸行動を妨げる3つの“心理バリア”をどう乗り越えるか?
1|「知識が足りないから不安…」
→ ✅ 「理解してから始める」のではなく、「始めながら理解する」姿勢でOK
2|「今、家計に余裕がない…」
→ ✅ iDeCoは“あとから始める”でも間に合う。まずはNISA少額から
3|「間違った選択をしたくない…」
→ ✅ 完璧を目指さず、「続けられる選択」が最良の選択になる
投資は“正解を見つけるゲーム”ではなく、“失敗しても戻れる仕組み”を持つことの方が大事です。
🔸未来を変えるのは「枠を埋めること」ではなく「枠を活かすこと」
「NISAの1800万円枠、使い切れそうにない…」という声を聞くことがあります。
でも、それで構わないんです。
枠は「埋めるため」にあるのではなく、「賢く使うため」にある。
たとえ月5,000円でも、非課税の恩恵は数十年後に大きな差を生み出します。
それがNISA・iDeCoという制度の“真の設計思想”です。
🔸最後に──「静かに育てるお金」に、意味がある
Quiet Money Labが何より大切にしているのは、**“投資をしていると感じさせない資産形成”**です。
- アプリを開いて一喜一憂しなくていい
- SNSで爆益自慢と比べなくていい
- 数年後の自分が「やっててよかった」と思えればそれで十分
静かに、じっくり、お金を育てる。それは、今の生活も、未来の安心も、両方を守るための最も現実的な方法です。
🔸「次にやること」まとめ
- ✅ NISAとiDeCoの口座を、まず1つずつ用意する(証券会社選びも重要)
- ✅ 月5,000円から“使っていないお金”を活用して積立を始める
- ✅ 半年ごとに「家計×資産配分」の調整タイムを設ける
- ✅ 焦らず、でも「始めること」から目をそらさない
▶ 関連記事リンク
👉 【2025年最新版】ネット証券の選び方と比較ガイド|手数料・NISA対応・アプリ機能まで徹底解説
✅ 注意点
- 本記事の内容は2025年時点の制度に基づいており、将来変更される可能性があります。
- NISA・iDeCoともに、投資には元本割れリスクがあります。運用成果は保証されません。
出典:
金融庁|NISAを知る:NISA特設ウェブサイト:金融庁
iDeCo公式サイト|iDeCo公式サイト|iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)【公式】
厚生労働省|iDeCoの概要 |厚生労働省
金融庁|令和7(2025)年度税制改正について
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