「投資ってやっぱり、難しそうですよね──」
この言葉、何度も聞いてきました。正直、私自身もそう思っていた時期がありました。
でもあるとき、ふと気づいたんです。「難しい」と感じているのは、“学び方”がわからなかったからだと。
ニュースでは「老後2,000万円不足」なんて言われて、将来の生活が不安になる。SNSには「NISAで爆益!」なんて景気のいい話が溢れていて、かえって不安になる。
何を信じればいいのか、どう動けばいいのか──投資初心者にとって今の情報環境は、実はとても過酷なんです。
でも、大丈夫。
本記事では、**「金融リテラシーとは何か?」を“ゼロからやさしく、かつ本質的に”**解説していきます。
- 老後2,000万円問題の正しい読み解き方
- 世界・日本の金融教育の“ギャップ”
- 投資初心者がよくつまずく「3つの壁」
- 新しいNISA制度の活かし方と注意点
会計とFPの視点から、数字に振り回されず、構造を理解し、“私たちの生活に落とし込める”投資リテラシーをお届けします。
読み終える頃には、「やってみようかな」と思えるはずです。
あなたの不安が、ひとつずつ、言葉に変わることを願って──。
第1章|なぜ今「金融リテラシー」が必要なのか

「老後2,000万円問題」は、ただの“数字の話”じゃない
2019年、金融庁の報告書に端を発した**「老後資金2,000万円不足問題」**。
ニュースやSNSで騒がれたこの数字を、覚えている方も多いのではないでしょうか。
正直に言うと、最初は私も「そんな金額、無理じゃないか」と思ってしまいました。
でもそのあと、報告書の中身をじっくり読み、会計的な前提条件を確認してみると、実は“数字の使われ方”に誤解が多かったことに気づきました。
そもそもこの2,000万円という数字は、
- 夫65歳・妻60歳の無職夫婦世帯
- 30年間の生活費不足額:月5.5万円 × 12ヶ月 × 30年=約2,000万円
- 収入・支出モデルは2017年の総務省「家計調査」ベース
という、あくまで**“平均モデル”のシミュレーション結果**に過ぎません。
それなのにこの数字だけが一人歩きして、「年金はもうダメだ」とか「自助努力しなきゃ破綻する」といった極端な解釈ばかりが独り歩きしてしまった。
これは、**金融リテラシー=“文脈を読む力”**が不足していたことの表れでもあります。
「今のままで大丈夫かも」が一番怖い時代
この報告書には、「長期・積立・分散」という基本的な投資の方針が明記されています。
でも、どこか他人事のように聞こえてしまった人も多かったのではないでしょうか。
その理由ははっきりしています。
日本はこれまで「預金していれば安心」という時代が長く続いてきました。
でも、2025年現在の普通預金金利はせいぜい年0.2%程度(税引前)。
それに対して、物価はどうでしょう?
ガソリン代、食料品、光熱費──気づかぬうちに、毎日の暮らしがじわじわ“目減り”しているのです。
つまり、貯金だけでは「生活を守る力」が失われつつある。
この現実を受け止めるには、感情論ではなく「数字の構造」を知る力=金融リテラシーが必要なのです。
金融リテラシーとは「一発逆転」ではなく「自分を守る盾」
「投資を勉強すると、何か得をするんですか?」と聞かれることがあります。
でも私はいつもこう答えています。
金融リテラシーは、得するためのものじゃなく、“損しないためのもの”なんです。
実際、金融知識があるかないかで、こんなにも違いが出ます:
状況 | 金融リテラシーが低い場合 | 金融リテラシーが高い場合 |
---|---|---|
詐欺勧誘 | 「高利回り」に惹かれ即決 | 必ず仕組みとリスクを確認 |
投資判断 | SNSの噂で商品を選ぶ | 自分の目的とリスク許容度で判断 |
老後資金 | 「何となく不安」で行動せず | 数字で把握し、現実的に準備 |
そう、金融リテラシーとは「自分の暮らしを“数字で守る”ための道具」なんです。
そして、それは誰でも、今から、少しずつ身につけることができる力なんです。
第2章|老後2,000万円問題の真意と年金の現実
試算モデルの背景を冷静に見てみよう
「30年間で2,000万円足りない」という試算。
この根拠となったモデルケースは、次のとおりです。
- 夫65歳、妻60歳の無職夫婦世帯
- 夫婦とも健康で、夫95歳・妻90歳まで生活が続く
- 月々の生活費:支出26.4万円、年金などの収入:20.9万円 → 毎月約5.5万円の赤字
これを年単位・30年でかけ算すると、2,000万円の金融資産を取り崩す必要があるという話になります。
でも、ここで大切なのは──
これは「誰にでも当てはまる未来」ではなく、「平均的な条件下でのひとつの例」に過ぎないということ。
実際には、
- 持ち家か賃貸か
- 公的年金の受給額や企業年金の有無
- 生活レベル、支出の見直し余地
- 健康状態、扶養家族の有無
などによって、「必要な老後資金」は人それぞれ大きく異なります。
インフレ・金利・年金支給額の変化も考慮すべき
さらに、当時と今とではインフレ率も違います。
例えば、2023年から24年にかけての消費者物価上昇率は一時年3%を超える局面もありました。
仮に今後も年2%の物価上昇が続くとしたら──30年後の2,000万円は、今の価値で言えば実質3,000万円以上が必要かもしれません。
加えて、公的年金も「マクロ経済スライド」の影響で、実質的な支給水準が抑制されていく可能性が高いとされています。
つまり、「将来もらえる額が減るかもしれない上に、物価は上がる」──これが今のリアルです。
不安を“具体的行動”に変えるには?
ここまで読むと、「ますます不安になった…」という方もいるかもしれません。
でも、ここで大切なのは──
不安に飲まれるのではなく、不安を“行動に変える”ということ。
たとえば、
- 「月1万円だけ」でも積立を始めてみる
- 家計簿で生活費を“見える化”してみる
- NISAやiDeCoの制度を、まずは仕組みだけでも学んでみる
これだけでも、未来は少しずつ変わっていきます。
「老後2,000万円問題」とは、投資の必要性を数字で“見える化”した、警鐘のような存在。
その本質は、「自分の未来に向き合うきっかけ」なのかもしれません。
第3章|世界と日本の金融リテラシー調査結果から見える現実
「投資のこと、学校では教わらなかったなあ」
そんな声をよく聞きます。
実はこれ、日本だけの話じゃないんです。
世界39カ国を対象にした金融リテラシー調査、その結果は…
2023年にOECD/INFE(国際金融教育ネットワーク)が実施した国際金融リテラシー調査によると、
参加国全体の平均スコアは、100点満点中わずか60点。
OECD加盟国に限っても、平均は63点にとどまりました。
さらに、“最低限の金融知識レベル”とされるスコア70点以上を達成した成人の割合は、
全体平均で34%、OECD内でも**39%**に過ぎませんでした。
複利を理解している人、たったの42%──
調査で明らかになったのは、次のような傾向です:
- 複利計算を正しく理解している人:42%
- インフレの定義を正確に説明できた人:84%
- リスクとリターンの関係を理解していた人:77%
特にショッキングなのは「複利」。
これは、資産形成において最も大切な概念のひとつ。
それでも、実際に理解できている人は半分以下という現実があります。
日本はどこにいるのか? 世界と比べてみた
残念ながら、日本はこの調査で世界上位とは言えない立ち位置です。
特に**「金融知識」「行動」「態度」という3つの観点で見ると、どれも平均かそれ以下**の水準にとどまっています。
これは単なる知識の問題ではなく──
- 日常生活でお金と向き合う姿勢
- 将来に備えるという意識
そのものが、諸外国と比べて“弱い”という警鐘でもあるのです。
高収入・高学歴ほどリテラシーが高い傾向
もうひとつ見逃せないのは、「格差」の問題。
調査では、高収入層・高学歴層ほど金融リテラシーが高い傾向が明確に表れました。
逆に言えば、収入が低い、教育機会に恵まれなかった人ほど、「知らないまま損している」可能性が高いということです。
つまり、金融リテラシーの差は“資産格差”にも直結する。
これは個人の課題であると同時に、社会全体の課題でもあると言えるでしょう。
第4章|日本の金融教育と知識格差の実態

「学校で金融の授業があればよかったのに」
これは、多くの大人が感じている“静かな後悔”かもしれません。
「金融教育を受けたことがある」人はたったの7%
日本では、金融広報中央委員会(日本銀行の事務局)が**実施している「金融リテラシー調査」**があります。
2022年調査によると、以下のような実態が明らかになりました。
- 全体の正答率は55%前後で停滞傾向
- 18〜29歳の若年層は他世代より低い傾向
- 金融教育を受けたと認識している人の割合はわずか7%
これ、想像以上に低くありませんか?
若者の関心は高まっているのに「追いついていない」
興味深いのは、若年層ほど投資への関心は強いという点です。
SNSやYouTubeで投資の情報に触れる機会は多く、
実際に投資信託や株式を購入した若者は急増しています。
でも──
その一方で、知識水準や判断力は追いついていないのが現実。
これはつまり、**「自己判断ができないまま投資を始めてしまっている」**という危うい構図なんです。
金融庁・日本銀行の取り組みも本格化している
こうした現状を受けて、金融庁や日本銀行も動き始めています。
- 金融庁は「職域金融教育」などを通じ、社会人向けの教育機会の提供に注力中
- 金融広報中央委員会は、「中高生向け教材」や教員研修にも取り組んでいます
2005年を「金融教育元年」と位置づけて以降、少しずつですが公的機関主導の動きも広がりつつあるんですね。
ただし──現時点では、カリキュラムに入っている学校の数はまだ少数派。
「学校で当たり前に学ぶ」には、もう少し時間がかかりそうです。
“知らない”ままでいるリスクはどこにある?
ここまでお読みいただいた方は、こう思うかもしれません。
「でも、知らなくても何とかなってきたし、別にいいのでは?」
その気持ち、わかります。
でも現実には、「知らない」が原因でトラブルに遭う人が増えているんです。
たとえば──
ケース①:SNS型の投資詐欺に4,000万円を振り込んだ70代男性
Facebook広告→LINEグループ→偽サイトという巧妙な非対面詐欺。
高額なリターンに惹かれ、約4,000万円を失った事例が報道されました。
ケース②:金融商品を「なんとなく」で契約し、後悔した40代主婦
リスクを理解しないまま契約。解約時に手数料や元本割れで損失。
これも、「ちょっと聞けば防げた話」だったかもしれません。
金融リテラシー=“情報を選び、行動する”力
「難しい話はちょっと…」という声も聞きますが、
ここで言う金融リテラシーとは、経済学の専門用語を覚えることではありません。
- 「絶対儲かる」という話を疑えるか
- 「これって本当に必要?」と立ち止まって考えられるか
- 契約書や商品説明を「自分で読んで理解しよう」とする姿勢があるか
これらすべてが、“金融リテラシー”なんです。
第5章|投資初心者が最初につまずく3つの心理の壁
正直に言います。
私も「怖くて投資できない」と思っていた一人でした。
でも、それには理由があるんです。
5-1. 「知識がない」から動けない
金融庁や金融機関など、近年の複数の調査で浮かび上がっているのは──
投資初心者が一歩を踏み出せない最大の理由は、「知識がないから」
でもここで誤解してほしくないのは、
“全てを完璧に理解しなければ投資してはいけない”というルールは存在しないということ。
むしろ、**最初は誰もが「わからないなりに始めている」**んです。
その後、少しずつ慣れながら理解が深まっていく。
これは、投資に限らず人生の多くのことに共通していますよね。
5-2. 「損しそうで怖い」という感情の壁
次に多く挙げられているのが、「怖い」「損しそう」というイメージ。
調査でも、
「投資はリスクが高くて不安」
「元本割れが怖い」
といった回答が上位を占めています。
これは人間として自然な感情です。
でも、ここにひとつ重要な誤解があります。
「リスク」とは、“危険”ではなく“変動”のこと。
たとえば、10年持っていればプラスになる可能性が高い商品でも、
途中でマイナスになった瞬間を切り取れば、確かに“損”です。
この“短期的なブレ”をどう捉えるかが、
投資を続けられるかどうかの分かれ道になります。
5-3. 「どこで、何を、どう選ぶか」がわからない
投資初心者がよく抱く悩みの3つめは、
- 何から手をつけたらいいかわからない
- どの証券会社を選べばいいのかわからない
- NISA?iDeCo?そもそも仕組みがよくわからない
という、いわば**“情報過多”による麻痺状態**です。
YouTube、SNS、ブログ、書籍……
情報は山のようにあるのに、「自分に合った選び方」が見えないんですよね。
解決のヒント:「完璧じゃなくてもいい」から始める
大切なのは、完璧なスタートを目指さないことです。
- 証券口座は「使いやすそう」で決めてOK
- 最初は少額でも、ポイント投資でもいい
- わからなければ、「やってみる」ことでわかってくることも多い
Quiet Money Labでも、「投資初心者向けのサービス一覧記事」を用意しています。
※気になる方は以下の記事も確認してみてください。
👉 初心者向け|不動産クラファンおすすめサービス一覧【少額・安心設計】2025年版
👉 【2025年版】ロボアドバイザー比較ガイド|新NISA対応・手数料・特徴をわかりやすく整理
👉 【2025年最新版】ネット証券の選び方と比較ガイド|手数料・NISA対応・アプリ機能まで徹底解説
👉 はじめてのFX口座選び
「私は損をしたくない」こそが、最初の学び
投資を始めてみると、誰もが一度は「損したくない」と思います。
でも実はそれが、**投資における最初の“学びの瞬間”**なんです。
その気持ちこそが、「なぜ損が出たのか」「どうすればリスクを減らせるのか」を考える原動力になります。
だからこそ──
**「怖い」「わからない」という感情に蓋をせず、
それを「学びへのサイン」**として捉えていきましょう。
第6章|2024年改正!新しいNISA制度の本質と使いこなし方
「NISAって変わったらしいけど、正直よくわからなくて…」
そう感じている方、多いですよね。
でも大丈夫。焦らず、ひとつずつ整理していきましょう。
6-1. 新NISAの基本をおさらいしよう
2024年から、新しいNISA制度がスタートしました。
従来の制度と比べ、こんな変化があったのをご存じでしょうか?
項目 | 従来のNISA | 新しいNISA(2024〜) |
---|---|---|
制度の期間 | 時限的(終了時期あり) | 恒久化(期限なし) |
非課税期間 | 一般NISA:5年/つみたてNISA:20年 | 無期限に変更 |
年間投資枠 | 一般NISA:120万円/つみたてNISA:40万円 | つみたて:120万円/成長投資:240万円 |
生涯非課税枠 | なし | 最大1,800万円(うち成長投資枠1,200万円) |
併用可否 | 一般かつみたて、どちらか一方のみ | つみたて+成長投資の併用OK |
この変更により、長期で積み立てながら、柔軟に投資できる仕組みが整いました。
6-2. 投資初心者にとって「朗報」な3つのポイント
① 非課税保有期間が“無期限”
これはかなり大きいです。
「いつ売ればいいか…」というプレッシャーから解放されることで、本当の意味で“長期投資”が可能になります。
② 年間投資枠が拡大し、併用可能に
今までは「つみたて or 一般」の二択でしたが、
新制度では、同年内に両方使えるようになりました。
つまり、つみたてNISAでコツコツ運用しつつ、
余裕がある月に「成長投資枠」で個別株やETFにチャレンジすることも可能です。
③ 生涯非課税枠は“再利用可能”
これは意外と見逃されがちですが、
売却した分の枠は翌年以降に復活するので、
ライフプランの変化にも柔軟に対応できます。
6-3. 新NISAで気をつけるべきこと
・NISA口座は「1人1口座」制
証券会社は年ごとに変更可能ですが、同時に複数口座は持てません。
・成長投資枠は取り扱い商品が限られる
金融機関によって、扱っている投資信託や株式の種類が異なるため、商品選びは注意が必要です。
・つみたて投資枠には「長期分散投資に適した商品」のみが対象
手数料や信託報酬が高い商品は対象外になっているため、初心者でも比較的安心して始められるようになっています。
6-4. 私が思う「NISAの本質」とは
私が会計やFPとしての相談業務で一番感じるのは──
NISAは「使った人」と「使わなかった人」で10年後の差が出る制度だということ。
もちろん、無理して使う必要はありません。
でも、非課税のメリットを活かすだけで「税引後リターン」が大きく変わるのも事実。
最初は月5,000円でも構いません。
“資産運用の筋トレ”として、コツコツ積み上げる土台として、
新NISAは非常に優れた仕組みなんです。
6-5. 「何から始めたらいい?」という方へ
口座選びや商品比較に迷う方も多いと思います。
そんな方は、Quiet Money Labの「サービス一覧記事」で比較しながら検討してみてください。
👉 初心者向け|不動産クラファンおすすめサービス一覧【少額・安心設計】2025年版
👉 【2025年版】ロボアドバイザー比較ガイド|新NISA対応・手数料・特徴をわかりやすく整理
👉 【2025年最新版】ネット証券の選び方と比較ガイド|手数料・NISA対応・アプリ機能まで徹底解説
👉 はじめてのFX口座選び
「最初の一歩」を踏み出すのに、早すぎるも遅すぎるもありません。
少しでも「やってみようかな」と思ったその気持ちが、
未来のあなたを支える“複利”になるかもしれません。
第7章|ネット証券と金利の変化が示す「今が始めどき」の理由
「証券口座を作るって、なんだかハードル高そう…」
私もかつてはそう思っていました。
でも今、そんな時代ではなくなっているんですよね。
7-1. 金利上昇? でも預金だけでは追いつけない
2024年から、日本の預金金利にほんのわずかな変化がありました。
例えば、普通預金金利(2025年3月時点)は0.2%程度。
確かに、これまでの「0.001%時代」から見れば上がってはいます。
でも、年率2〜3%のインフレが進行している現代においては、
残念ながら、**「実質的には目減りしている」**状態なんです。
つまり、預金は「安全」だけど、「増えない」。
そして、増えないどころか「静かに減っている」のが今の日本です。
7-2. ネット証券は“今の当たり前”になってきている
そんななか、個人が投資に目を向けるようになった背景にあるのが、
主要ネット証券の成長です。
SBI証券(2024年9月時点):
- 証券口座数:1,331万口座
- 預かり資産残高:43.1兆円(前年比+34.5%)
楽天証券(2025年1月時点):
- 証券口座数:1,200万口座突破
- 特に30代以下の口座開設が顕著
もはや、「ネット証券=投資上級者が使うもの」ではありません。
ポイント投資・つみたてNISA連携・スマホ完結型アプリなど、
今のネット証券は、「投資初心者 金融リテラシー」の入口として最適化されているんです。
7-3. ネット証券だからこそ得られる“静かな安心”
ネット証券を使うメリットは、単に手数料が安いことだけではありません。
- 資産の見える化が簡単(アプリで一括管理)
- 取引履歴や税金情報も自動で整理される
- 生活の中に“資産形成”が自然に組み込まれる
「投資って特別なこと」と思っていたのが、
ある日突然、「いつものスマホで残高チェック」になっている。
そんな“日常化”こそが、投資を続ける上での最強の仕組みなんですよね。
7-4. 始める人が急増している「今こそチャンス」かもしれない
繰り返しますが、「金利が上がった」と言っても、
それはインフレに追いつくほどの水準ではないというのが実態です。
一方で、ネット証券の口座数は右肩上がり。
新NISA制度や情報環境の変化もあり、「投資を始める人」が加速度的に増えています。
つまり──
何もしなければ“相対的に損”をする時代に入ったということ。
「まだ始めてないから出遅れた」と思うかもしれませんが、
実は、これから始める人にこそ選択肢がたくさんある時代なのです。
第8章|家計簿と貯蓄率:資産管理の土台を整える
「投資を始める前に、まずは家計の整理から──」
これ、実は最も“堅実”な第一歩かもしれません。
8-1. 家計簿をつけている家庭は黒字率が高い
家計管理に関する調査では、
20〜40代の既婚女性のうち、約8割が家計簿を活用しているそうです。
さらに、
- 家計簿をつけている家庭:「いつも黒字」47%
- つけていない家庭:「いつも黒字」33%
という結果も出ており、家計簿=収支改善に直結していることがうかがえます。
8-2. デジタル家計簿アプリの活用も進んでいる
同調査では、家計簿のスタイルも多様化。
スタイル | 割合 |
---|---|
デジタル派(アプリ・Excel) | 約5割 |
紙派 | 約3割 |
併用派 | 約2割 |
特に30代は「アプリ派」が多く、
マネーフォワードMEやZaimなどの利用者が増えている傾向があります。
アプリの魅力はやっぱり、「自動連携・自動分類」ですね。
レシートを読み取ったり、クレカ情報を同期したりすることで、手間を最小限に“習慣化”できるのが強みです。
8-3. 貯蓄の実態:平均値では見えない「中央値」の大切さ
総務省「家計調査報告(2023年)」では、
二人以上世帯の平均貯蓄現在高は約1,904万円。
でも、この数字に「ちょっと安心」してはいけません。
なぜなら、中央値は1,107万円。
つまり、半数以上の世帯はそれ以下しか貯蓄がないということなんです。
| 年代別の月間平均貯蓄額(単身世帯) |
年代 | 月間平均貯蓄額 |
---|---|
20代 | 約3.6万円 |
30代 | 約4.2万円 |
40代 | 約3.6万円 |
50代 | 約3.4万円 |
60代 | 約1.6万円 |
これを見ると、「投資の前に、貯める力が重要」という現実が見えてきますよね。
8-4. 家計簿で「投資の土台」をつくる
投資初心者にとって、家計簿は“お金のダイエット記録”みたいなもの。
最初は少し面倒でも、継続することで体質(収支)が変わってきます。
特にオススメなのは、
- 固定費と変動費を分けて考える
- 月初に「先取り貯蓄」する仕組みを入れる
- 収入の10〜20%を「投資準備資金」として振り分けてみる
このステップができるだけで、投資のハードルはグッと下がるはずです。
第9章|少額投資・ポイント投資で踏み出す実践ステップ

「お金がないから、投資なんてまだ早い」
実はこれ、昔の私が言っていたセリフです。
でも今は、100円から始められる時代なんですよね。
9-1. 100円投資の時代──それでも“投資”です
かつては、「投資=まとまったお金が必要」というイメージが当たり前でした。
でも今は、100円からでも本格的な投資信託を買える時代。
たとえば:
- 楽天証券:100円からの投資信託積立、つみたてNISA対応可
- SBI証券:100円積立に加え、Pontaポイントでの投資も可能
- マネックス証券:1日100円の「毎日つみたて」サービスあり
これらは、単なる“体験”ではありません。れっきとした資産形成の第一歩です。
9-2. ポイント投資という“リスクの低い学び方”
さらに人気を集めているのが、ポイント投資。
ポイント投資に関する調査によると:
- ポイント投資利用率(年代別):
30代:21.6%
20代:19.3%
40代:16.9%
よく使われているサービスは:
利用率 | サービス名 |
---|---|
46.2% | 楽天証券(楽天ポイント) |
17.2% | PayPay証券 |
16.0% | SBI証券(Ponta等) |
ポイント投資の最大のメリットは、**「現金を使わずに市場経験が積める」**こと。
これは、心理的にも財布的にも大きな安心材料になります。
9-3. 少額でも“複利”は味方してくれる
「月100円で意味あるの?」と思った方。
ここでシンプルなシミュレーションを見てみましょう。
✔ 複利シミュレーション(年3.0%想定・20年運用)
- 月100円 × 12ヶ月 × 20年=元本24,000円
- 運用益:約8,830円
- 合計資産:約32,830円
「たったそれだけ?」と思われるかもしれませんが、重要なのは“増える感覚”を知ることなんです。
たとえば、これが月1,000円、1万円、3万円…と増えていけば?
将来に向けた投資の地図が、リアルに描けるようになります。
9-4. 小さく始めることの“心理的メリット”
実際、私自身も「月1,000円の積立」から投資を始めました。
当時の目標は、ただひとつ──“投資を習慣化する”こと。
そうすると不思議なもので、
- 経済ニュースを自分ごとで見るようになる
- 「増やす視点」が日常生活にも広がる
- 何より、“投資って怖くないかも”という実感が湧いてくる
少額投資の最大の価値は、「学ぶための入口として最適」であること。
金額の大小ではなく、“投資を自分の生活に取り入れる”という意味でとても大切な一歩なのです。
第10章|ライフステージ別の資産形成:年収推移と金融資産のリアル
「他の人って、どれくらい貯めてるんだろう」
そんなふうに思ったこと、ありませんか?
数字で比べすぎる必要はありませんが、“現状を知る”ことには大きな意味があります。
10-1. 年収のピークはいつ? 国税庁データで見る“現実”
国税庁「民間給与実態統計調査(令和5年分)」によれば──
年齢層 | 平均年収(万円) |
---|---|
20~24歳 | 267万円 |
25~29歳 | 394万円 |
30~34歳 | 431万円 |
40~44歳 | 501万円 |
50~54歳 | 540万円 |
55~59歳 | 545万円(ピーク) |
60~64歳 | 445万円 |
つまり、収入のピークは55歳前後。
その後はゆるやかに減少していく構造になっています。
このデータを踏まえると、資産形成の“加速期”は30代後半~50代前半であることがわかりますね。
10-2. 金融資産の保有状況:資産のピークは60代
内閣府分析(総務省「全国家計構造調査」)によれば、
- 60~64歳世帯の平均金融資産:約1,800万円
- 85歳以上でも平均1,500万円以上を維持
また、金融広報中央委員会の調査では:
年代 | 金融資産(中央値) |
---|---|
20代 | 約100万円以下 |
30代 | 約400〜500万円 |
60〜70代 | 2,000万円以上 |
このように、“金融資産の山”は60代にあることが分かります。
10-3. ライフイベントごとの資産形成ステップ
人生にはさまざまな支出イベントがあります。
ライフイベント | かかる主な費用 | 対応する資産形成戦略 |
---|---|---|
結婚・新生活 | 挙式・家具など | 定期預金・つみたてNISA(短期+中期) |
子育て・教育資金 | 学費・習い事等 | 教育保険+ジュニアNISA(中期) |
住宅購入 | 頭金・ローン | iDeCoで節税+老後資金づくり |
セカンドライフ | 生活費・医療費 | NISA+年金設計(長期) |
資産形成とは、「未来の出費に備える先回り」。
だからこそ、年収や年齢に合わせて“仕組みを整えること”が大切なんです。
10-4. 自分の“今”にあった判断を
もちろん、全員が同じステップを踏むわけではありません。
大切なのは、「他人と比べること」ではなく──
“自分にとって最適な方法はどれか”を見つけていくこと。
たとえば20代であれば、少額でも習慣化が重要。
30代なら、ライフプランに合わせた積立戦略が軸に。
50代では、資産を“守りながら増やす”視点がカギになります。
第11章|安全資産とリスク資産の違いとは? 投資初心者が知っておきたい資産の性格
「元本割れが怖くて投資に踏み切れない」
…この悩み、本当によく聞きます。でも、怖さの正体は「知らないこと」にあるんですよね。
11-1. リスク=“損すること”ではない
投資初心者がまず混乱するのが、「リスク」という言葉の意味。
多くの人は、「リスク=危険」だと捉えがちですが、金融の世界では違います。
リスクとは、“価格の振れ幅(変動幅)”のこと。
つまり、損失が出る可能性だけでなく、利益が出る可能性も含まれているんです。
「リスク=振れ幅」と知るだけで、投資に対する印象はガラリと変わります。
11-2. 安全資産:守りの役割を持つ“土台”
「安全資産」とは、リスク(変動幅)が非常に小さい資産のこと。
代表的なのは、普通預金、定期預金、国債などです。
安全資産の特徴:
- 元本が保証されている、もしくは極めて近い
- 価格の変動がほとんどない
- インフレに弱く、実質的な価値が下がることもある
たとえば、普通預金の金利が0.2%だとしても、
物価が2〜3%上がっていれば、実質的には“お金が減っている”状態なんですよね。
11-3. リスク資産:長期で“育てる”タイプの資産
一方の「リスク資産」とは、価格の変動が大きいが、その分リターンも期待できる資産です。
代表例は:
- 株式(日本株・米国株・新興国株)
- 投資信託、ETF
- 不動産投資信託(REIT)
- 金(ゴールド)、コモディティ
たとえば、国内株式(TOPIX)の長期平均リターンは年6〜7%とされています(過去実績ベース)。
もちろん、これには価格の上下があり、「短期で見ればマイナスになる年」もある。
でも、長期で運用を続けた場合はプラスに転じる可能性が高まる──それがリスク資産の魅力です。
11-4. 投資信託は“ミックス型”の入り口として最適
特に初心者には、投資信託がリスク資産の中でも取り組みやすい選択肢です。
なぜなら、少額から分散投資ができ、プロが運用してくれる仕組みだから。
もちろん、信託報酬などの手数料や価格変動リスクはあります。
でも、「分からないから全部預金」は、もはや“守り切れない選択肢”なのかもしれません。
11-5. 組み合わせがすべてを変える
最も大切なのは、「どちらかに全振りしない」こと。
資産タイプ | 主な役割 | 投資初心者の配分例(目安) |
---|---|---|
安全資産 | 日常資金・緊急予備 | 生活費3〜6ヶ月分程度を確保 |
リスク資産 | 長期資産形成 | 余剰資金のうち、目的に応じて段階的に運用 |
投資は、「生活を支えるための手段」であり、「ギャンブルではない」──
この考え方こそ、Quiet Money Labが大切にしている資産形成の姿勢です。
第12章|インフレと資産寿命に備える数字思考
「2000万円もあれば安心?」──
この問いに、私はいつも「それは前提によります」と答えています。
12-1. インフレが「老後資金の現実」を変える
たとえば、よくある老後試算として「30年間で月5.5万円の赤字=2,000万円不足」という数字がありますよね。
でもこの2,000万円は、物価上昇を考慮していない“名目値”。
仮に年2%のインフレが30年間続くと、必要額は約2,700万円に跳ね上がります。
さらに、年3.5%のインフレが続いた場合、
試算によっては約4,000万円という数字も。
“お金の量”ではなく、“お金の価値”に目を向ける──
これが、数字で考える資産形成の第一歩です。
12-2. 公的年金は頼りにならない?
公的年金はもちろん、老後資金の柱です。
でも、「マクロ経済スライド」という仕組みによって、物価や賃金が上がっても年金支給額は“実質的に増えにくい”構造になっています。
たとえば:
- 名目上の年金額が1.9%上がっても、
- 物価上昇が3%なら、実質的には“マイナス1.1%”
こうした「見えない目減り」が、老後資産をじわじわ削っていく可能性があるんです。
12-3. “資産寿命”を延ばすための3つの視点
資産寿命=お金が尽きるまでの期間。
これを延ばすには、次の3つの視点が重要です。
視点 | 具体策 |
---|---|
入れる力 | 少額でも積立投資を続ける(複利の活用) |
増やす力 | 長期運用でリスク資産を活用(分散投資) |
使う力 | 計画的な引き出し方・年金の繰り下げ活用など |
Quiet Money Labでは、これらを“ゆるやかに育てて、静かに使う”方法として紹介しています。
短期的な上げ下げよりも、一生使える仕組みをつくる──それが本質です。
12-4. あなたにとっての「老後資金」は、いくら?
大切なのは、平均ではなくあなた自身の暮らしに合わせたシミュレーションです。
- 家族構成(単身?夫婦?扶養者あり?)
- 居住形態(持ち家/賃貸)
- 趣味や医療費の見込み
- 退職金や企業年金の有無
これらを考慮して、“わたしの必要額”を把握しておくこと。
金融リテラシーとは、「平均に振り回されず、現実に即して考える力」なんですよね。
第13章|まとめ:金融リテラシーは人生を支える防災力になる
最後に、ここまで読んでくださったあなたへ。
私が伝えたいのは、「知識は武器」でもあり、「盾」でもあるということです。
13-1. 知らないことで損する時代は、もう始まっている
- 「投資詐欺に遭う」
- 「無駄な手数料を払い続ける」
- 「“何となく不安”で動けず、時間を失う」
これらはすべて、**金融知識があれば防げる可能性の高い“損失”**です。
逆にいえば、学ぶだけで回避できる損失が、人生にはたくさんあるということ。
13-2. 投資は“自分の人生に向き合う行為”でもある
Quiet Money Labでは、投資を「お金儲けの手段」ではなく、
「生活を見直し、自分の未来と向き合う習慣」と捉えています。
- 目標が明確になり
- 支出に意識が向き
- 経済ニュースが“自分ごと”になる
こうして、お金と向き合う力は、やがて人生の舵取り力にもつながっていくんです。
13-3. 次に踏み出す一歩──少額からでも始めてみよう
投資初心者にとって、「最初の一歩」は本当に勇気が要ります。
でも、Quiet Money Labはその一歩を“怖くないもの”に変えるためのメディアです。
まずは:
- 家計簿で収支を整える
- NISAやiDeCoの制度を学ぶ
- 100円から投資を始めてみる
そんな“小さな前進”が、未来の安心に変わっていくんです。
「最初の一歩を踏み出したい方へ」──
Quiet Money Labの「初心者向けサービス一覧」も、あなたの選択を後押しできるはずです。
👉 初心者向け|不動産クラファンおすすめサービス一覧【少額・安心設計】2025年版
👉 【2025年版】ロボアドバイザー比較ガイド|新NISA対応・手数料・特徴をわかりやすく整理
👉 【2025年最新版】ネット証券の選び方と比較ガイド|手数料・NISA対応・アプリ機能まで徹底解説
👉 はじめてのFX口座選び
【この記事に関するご注意】
- 投資には元本割れのリスクがあります。
- 過去の運用実績・利回りは将来の成果を保証するものではありません。
- 制度内容・数値情報はすべて2025年時点のものです。将来的な変更可能性があります。
出典:
経済協力開発機構|OECD/INFE 2023 成人金融リテラシーに関する国際調査 |経済協力開発機構
金融広報中央委員会|金融リテラシー調査(2022年)
日本銀行情報サービス局|日本銀行の広報活動と金融教育分野での取り組み
厚生労働省|年金制度の仕組みと考え方_第7_マクロ経済スライドによる給付水準調整期間
MMD研究所|ポイント投資に関する調査
国税庁|令和5年分 民間給与実態統計調査|国税庁
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