導入|高利回りに飛びつくと資産形成は遠回りになる
利回りは、投資判断のひとつの目安です。
でも、あなたはこう思ったことはないでしょうか。
- どうせ投資するなら利回りが高いほうが得だろう
- 低利回りだと全然増えない気がして不安になる
- 利回り〇パーセントと書いてあると、それだけで魅力的に感じる
こうした感覚は自然なものです。
ですが、利回りという数字は「片側だけを切り取った情報」であり、それだけで投資先を選ぶと、リスクや継続性という重要な視点を見落とすことになりかねません。
本記事では、利回りを過信した投資がもたらすリスク、数字だけでは見抜けない落とし穴、そして失敗を避けるための実践的な考え方をわかりやすく解説します。
第1章|利回りとは何かを正しく理解する
まず最初に、投資の利回りとは何を意味するのか、その基本から整理しておきましょう。
1-1 利回りは「過去または前提付きの数字」
利回りとは、ある投資対象から得られる収益を、投資元本に対して年率で表した数値です。
例えば不動産クラウドファンディングであれば「想定利回り」として表記されることが多く、実際には運用開始後の市場動向や賃料収入の変化によって変動します。
つまり、利回りはあくまで「予定」や「過去の実績」であり、将来の結果を保証するものではありません。
1-2 表示の仕方によって印象が大きく変わる
同じ投資対象でも、広告では「税引前・年率換算の表面利回り」が強調されることがあります。
一方で、実際に投資家が受け取るのは「税引後・手数料控除後の実質利回り」です。
このように、利回り表示はルールがあるようで明確でない場合も多く、数字だけを鵜呑みにすると誤解を招く原因になります。
1-3 利回りには「リスク」と「コスト」が含まれていない
利回りはあくまで収益面を示した数値です。そこには以下のような要素は含まれていません。
- 元本割れの可能性(特に劣後出資構造のクラウドファンディング)
- 手数料、税金、スプレッドなどのコスト
- 倒産リスクや市場環境の変動
そのため、利回りが高いということは、それだけリスクやコストも高くなっている可能性があると意識しておく必要があります。
第2章|高利回り投資の裏にあるリスクの正体
利回りが高い投資案件は魅力的に見えますが、実際にはさまざまなリスクが潜んでいます。
2-1 高利回りの裏には「誰かのリスク負担」がある
金融商品の利回りは、市場原理に基づいて決まります。利回りが高いということは、それだけ誰かがリスクを多く負っているということです。
例えば、不動産クラファンであれば、借入金の返済や空室リスクを投資家が負うケースがあります。高利回りだからといって安定して稼げるわけではありません。
2-2 高利回りは一時的であることも多い
広告で提示される利回りが過去の一時的な成果に基づいている場合、今後も同じ成果が出るとは限りません。
とくに、インフレや政策金利の変化によって運用環境が急変したり、分配金が変更されたりするリスクを無視してはいけません。
2-3 表示利回りは比較対象によって意味が変わる
例えば、以下のような比較は意味が異なるため、数字だけを並べて比較しても正しい判断にはつながりません。
- 想定利回り(クラウドファンディング)と実質利回り(投資信託)
- 表面利回り(不動産)と税引後利回り(ロボアド)
- 年率換算(短期投資)と実績ベース(長期運用)
このように、利回りという数字はあくまで「入口の指標」でしかなく、最終的な成果やリスクを読み解くには別の視点が必要になります。
第3章|利回りだけに頼らないための3つの視点
利回りは投資判断の一部であり、すべてではありません。
長期的に資産を育てていくうえで必要な視点は、利回りの外側にあります。ここでは、Quiet Money Labが推奨する3つの本質的な投資視点をご紹介します。
3-1 リスクを数値で見える化する
利回りが高ければ、その分リスクも高まる傾向にあります。
そこで大切になるのが、数字でリスクを測ることです。
例えば以下のような指標を活用します。
- 標準偏差(価格変動の大きさを示す)
- シャープレシオ(リスクに見合ったリターンが得られているか)
- 最大ドローダウン(どの程度資産が一時的に減少したか)
利回りが高く見えても、標準偏差が極端に大きい商品はリスクも高く、精神的なストレスや継続困難の原因になります。
3-2 継続できる設計かどうかを重視する
利回りがどれだけ高くても、継続できなければ意味がありません。
一方で、少し利回りが低くても自動積立や分散投資など、続けやすい仕組みがある商品は中長期で高い成果をもたらす可能性があります。
- 自動で積立できる(例:クレカ積立やロボアド)
- 値動きのブレが少ない(インデックス型投資信託など)
- 少額から始められて柔軟に止められる(不動産クラファンの一部)
継続可能性は、投資成果の裏にある重要なファクターです。
3-3 投資の目的に合っているかを再確認する
利回りが高いかどうかよりも、「自分の目的に合っているか」が最優先です。
例えば、老後資金として20年以上かけて積み立てていく場合は、値動きが少なく分散性の高い商品が適しています。一方で、短期間で利益を狙う人にとってはボラティリティの高い商品が適しているケースもあります。
数字だけでなく、あなたの人生設計との整合性で判断する視点を持つことが、納得のいく投資行動につながります。
第4章|比較するなら条件をそろえるが鉄則
投資商品を選ぶとき、多くの人が利回りの数字を並べて比較しようとします。
しかし、その数字を正しく比べるには「前提条件をそろえる」ことが必要不可欠です。
4-1 表示の仕方が違えば、比較は無意味になる
例えば以下のような例は、実は比較になっていません。
- A商品 年率5パーセント(税引前、5年運用)
- B商品 月利1パーセント(税引後、1年運用)
一見、月利1パーセントの方が控えめに見えますが、年率換算するとおよそ12パーセントです。また、税引き後と税引き前、運用期間の長さ、手数料込みか否かでも見え方が大きく異なります。
4-2 具体的に比較するには「表で整理」がおすすめ
実際に比較する際には、以下のような簡易的な表に落とし込むことで冷静な判断がしやすくなります。
サービス名 | 想定利回り | 税引き後利回り | 運用期間 | 手数料 | コメント |
---|---|---|---|---|---|
Aクラファン | 年率5.0% | 約4.0% | 6か月 | なし | 短期向き |
B投資信託 | 年率3.0% | 約2.4% | 長期 | 0.3% | 自動積立対応 |
比較は、利回りの数値だけでなく、前提条件をそろえて行うことで本来の意味を持ちます。
第5章|利回り以外で選ばれる商品には理由がある
一見すると利回りが低めに見える商品でも、多くの投資家から選ばれているものがあります。
そこには利回りでは測れない価値が存在しています。
5-1 低利回りでも安定感のある商品は根強い人気がある
例えば、インデックス型の投資信託や長期債券型ファンドなどは、年率2パーセント〜3パーセント程度の利回りが一般的です。
しかし、こうした商品は長期運用に適しており、以下のような特長があります。
- 値動きがマイルドで精神的に安心
- 分配金が安定していてブレが少ない
- 手数料が極めて低く、複利効果が高まりやすい
Quiet Money Labでは、こうした「安心して長く持てる商品」に着目する視点を重視しています。
5-2 利回りが低くても支持される商品例
- 【松井証券 投信工房】自動積立+ポイント還元対応。利回りより継続力を重視した設計。
→ 詳細はこちら - 【SUSTEN】成果報酬型でコスト負担が明確。分配金に頼らない運用方針。
→ 詳細はこちら - 【FOLIO ROBO PRO】AIによる分散投資。利回りに依存せず中長期で育てる設計。
→ 詳細はこちら
これらはすべて、「利回りを売り文句にせず、投資家に寄り添う仕組み」を重視している点が共通しています。
第6章|数字は信じるのではなく問い直すための道具
利回りや過去実績という数字を見ると、それだけで判断したくなるものです。
しかし、本質的な投資判断とは、数字に振り回されず、それが何を意味しているかを問い直すことから始まります。
6-1 数字に飛びつかず、背景を疑う思考をもつ
たとえば、ある商品が年率6パーセントと記載されていたとしても、次のような問いが立てられるかが重要です。
- これは税引き前か、それとも手数料込みか
- どのくらいの期間でその利回りが実現したのか
- 今後も同じ環境で運用されるのか、それとも一時的な成果なのか
こうした疑問を持つことで、数字を「信じる対象」から「使いこなす道具」へと変えることができます。
6-2 自分の資金・目的・性格から逆算する
数字はあくまでツールです。
大切なのは、それを自分に合った軸に落とし込めるかどうかです。
- 資金:元本が少ないなら、柔軟に出し入れできる運用が適している
- 目的:数年後に使う予定があるなら、短期商品で十分かもしれない
- 性格:値動きに敏感なタイプなら、安定的な商品が向いている
数字は判断の材料であって、目的そのものではありません。
Quiet Money Labでは、数値を活用しつつ、感情と目的のバランスを取ることが資産形成のカギになると考えています。
第7章|まとめ:利回りの奥にある本質に目を向ける
ここまでの内容を振り返りましょう。
- 利回りは便利な指標だが、それだけで判断するとリスクを見落とす
- 比較の際には前提条件をそろえることが絶対に必要
- 継続できるか、自分に合っているかを判断軸に加えることで投資判断が強くなる
- 利回りの数字は鵜呑みにせず、その意味を問い直す習慣が判断力を育てる
利回りという数字に強く反応するのではなく、それをどう読み解くか、どう活用するかという視点をもつこと。
その積み重ねが、静かに資産を増やす力へとつながっていきます。
注釈
- 本記事にはアフィリエイト広告(PR)が含まれます。記事内のリンクは提携先の紹介ページへ遷移するものです。
- 利回りは将来の成果を保証するものではなく、市場環境や運用方針の変化により変動する可能性があります。
- 投資には元本割れのリスクがあり、運用実績や想定利回りは過去のデータに基づく参考値です。
- 商品比較においては、固有名詞の前に「詳細はこちら」と記載し、Quiet Money Lab内の商標記事へ遷移させています。
- 制度や税制等の情報は2025年時点のものであり、今後変更される可能性があります。
- 本記事は投資判断を助ける情報提供を目的としており、特定銘柄や金融商品の推奨を行うものではありません。
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